ep.22 ページ24
調査兵団が壁外へ出て1時間ほど経っただろうか。
エミリは、壁の上で駐屯兵団の手伝いをしていた。
そんなエミリの頭の中では、壁外出発前の出来事が繰り返されていた。
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『エミリは残れ』
『兵長?!』
『何を考えているの、兵長は…』
『わからない…が、兵長の指示だ。従わざるを得ないだろう』
『きっと理由があるのよ。だから気を落とさないで』
『大丈夫。私は私の任務を全うして待ってるから』
『うん。私達もエミリの分まで任務を全うしてくるわ』
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調査兵団が前進し始めてから見えなくなるまで、エミリは壁の上で敬礼をして見送っていた。
その間にエミリの中を支配していたのはやはり絶望だった。
だが今はほっとしている。
もしあのまま壁外に出てしまえば間違いなくみんなのお荷物だ。
いくら訓練で失敗は無かったと言っても、この立体起動装置を扱ったのはたったの5日だけ。
見よう見真似でやってきた技術が、実践で通用するとは思えない。
なにより…
怖い。
きっと、足がすくんで動けない。
体も頭も恐怖で支配され、身動き一つ取れないまま巨人に捕まる。
そんな兵士はお終いだ。
簡単に食われる。
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作者名:勾 | 作成日時:2019年2月7日 17時