ep.15 ページ17
部屋に戻ると、ラーラが迎えてくれた。
兵長が尋ねてきた、と言ってきたのでさっき会ったと伝えた。
何かされなかったか、と心配してくれたので何も無かったと答えた。
そう、−−−何も無かった。
それがこんなにもショックだなんて。
今の私は記憶だけが“私”で、それ以外の体や心は“私”ではないのだ。
私と同じ名前のこの体の持ち主はきっとリヴァイ兵長を慕っている。
上司としてなのか恋愛的なのかは分からない。
でも、お咎めなしのこの状況がとてつもなく苦痛だと思うことを考えれば、
彼は“私”にとって特別な存在であることに変わりはないのだ。
ハンジさんからペンと紙を借りていた。
部屋に帰って記録するために。
私はペンを走らせた。
この世界の私とみんなの関係性。
ハンジさんから聞いた巨人のこと。
それから、リヴァイ兵長のこと。
書き終えた頃にはラーラは自分のベッドで眠っていた。
私もベッドへ入って目を閉じた。
その夜は、あまり眠れなかった。
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作者名:勾 | 作成日時:2019年2月7日 17時