私得な短編集[あんスタ]リクエスト募集中！！！ (ページ44)

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蓮巳敬人. 日頃の感謝ページ44

私「…ふぅ、終わりました」

敬人「あぁ、そうか」

敬人先輩は生徒会の仕事を私と二人がかりで
やっつけた後だからかだいぶやつれた様子だ。

わずらわしそうに私を見る敬人先輩。
彼女を見る目じゃない。

私「今日もお仕事おつかれさまです」

敬人「あぁ…俺は疲れているんだ。少し休ませてくれ」

敬人先輩はおぼつかない足取りで歩きだす。
ここはいっちょ後ろから抱きついて癒してやろう♪

しかし

私「わっ！？」

なぜか私はつまづき、体当たりをくらわす形となってしまった。
するとなんの拍子か、敬人先輩の眼鏡がとんでいった。

私「ご、ごめんなさい！」

敬人「ったく貴様は…とりあえず眼鏡をとってくれ。
命より大事と言っても過言ではない」

私「…大袈裟じゃないですか？」

敬人「そんなことはない。眼鏡がなければ本当に何も見えないんだ」

私「…」

敬人「早くしてくれA」

私「…いいなあ」

敬人「おいA？」

私「敬人先輩にそんなに大事にされるって…
命より大事とか、羨ましいな、このこの」

敬人「早く返せ！」

眼鏡を敬人先輩に手渡すと

私「…はい。って、わわ！？」

突然目を塞がれた。
いつの間にか後頭部も押さえられていて動けない。

敬人「貴様はこの状況のまま歩けるのか？」

私「…っ、ごめんなさい」

敬人「…俺もすまなかった」

私「え？」

敬人「いつも手助けばかりしてもらっていたにも関わらず
労いもせずずっとこき使い続けて…お前の気持ちをくんでやれなかった」

私「いや、私は…」

敬人「Aは何よりも…眼鏡よりも大切だ
いつもありがとう…Aのおかげで俺はどうにかやっていっている」

私「そ、そんなことないです…
私なんてまだ書類の整理もろくにできないし…」

敬人「そういうことではない…お前がいてくれるだけでいいんだ
笑って、話しかけてくれるだけで、俺は頑張れるからな」

私「…っ」

そんなふうに思ってくれていただなんて…
嬉しいけど、でも…

私「あの、いつまで目を塞いでいるんですか？」

敬人「俺の眼鏡がなかった分」

私「うっ…」

敬人「まぁ、もういいとするか…その前に」

真っ黒な視界の中、唇に感じる柔らかな感触。

私「ーっ！？」

それが無くなると同時に、視界が開けた…

敬人「…帰るぞ」

そう言って私に背を向け歩き出した敬人先輩は
耳が赤かった。