START:DASH!!〜4〜

パシり ページ31

貴方「よろしくお願いしまーす」


與「よろしくお願いします」



今日のラジオは真司郎と一緒だ。



彼は特に宣伝することなどはないので、私達の気まぐれで彼を呼んだようなものだ。



與「お前のラジオも何回目やろな」


貴方「もう二桁行ってるんじゃない？」


與「そうやな」


梨子「二人とも、もうそろそろ放送だから席着いてね」


貴方、與「「はい」」



まあ、そうこうしてラジオ放送も終盤を迎えた。



貴方「はい、『黒羽AのAfternoon JAPAN』お別れの時間が迫って来ました。


お相手は黒羽Aと」


梨子「東條梨子と」


與「與真司郎でした！」



スタッフ「......はい、放送終了です」



貴方、梨子「お疲れ様でした」



與「あ、お疲れ様でした」



放送が終わったスタジオは、少しガヤガヤしている。



いつもならさっさと次の仕事場所へ移動するが、今日は次の仕事まで時間が空いている。


ちょっとの間ここに居よう。


梨子「あら？Aちゃんここに残るの？」


貴方「はい」


梨子「珍しいわね、いつもならさっさと帰るのに」


貴方「次の仕事までちょっと暇だからね。梨子さんはこの後仕事？」


梨子「ええ、夕方の報道番組のね」


貴方「行ってらっしゃい」


梨子「行ってきます」


梨子さんを見送ってフゥ、と息をついた。


すると、横から真司郎が「お疲れ」と話し掛けてきた。



貴方「ああ、お疲れ。真司郎も残るの？」


與「うん。だって次も仕事一緒やん？」


貴方「あ、グループの仕事だったか。ちょっと私、表行くわね」


與「何しに？」


貴方「ちょっと飲み物買って来るわ」


與「じゃあ、俺の分も頼むわ」


貴方「......一緒に同行してもらおうか」


與「なんでそうなるんや」


貴方「何かあんたにパシりにされると腹立つわ」


與「はいはい、ついていってあげます」


ラジオ局の廊下を会話を交わすこともなく、無言で歩く。


貴方「ここね。先あなたから買っていいわよ」


彼は「あざっす」と体育会系のように言って、缶コーヒーのボタンを押した。


貴方「私はどうしよっかなー」


少し悩んだが、午後の紅茶のボタンを押した。



そして、もう一度お金を入れて缶コーヒーのボタンを押した。


彼は目を丸くして私に訊いた。


與「なんで二つ？」


貴方「企業秘密です」


與「マッキー好きやな、その『企業秘密』」


貴方「色々隠したい事があって」


與「俺にも言えない？」


貴方「ええ、ちょっとね」

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