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知らない【後編】 ページ6

「カンタの荷物、預かっとくからー。
いつでもいいから取りにきてなー。」


カンタくんの相方の優しい言葉をドア越しに
聞きながら、私はそれに返答できないでいた。




目の前には、私を見つめる熱を帯びた瞳。
顔を横切ってドアにつかれた手は、
本当に酔っているのか不思議に思うほど
力が入っていて。


(壁ドンって、こういう事を言うのかぁ…)


なんて、呑気に考えていれば、
カンタくんがぺろりと自分の唇を舐めた。
獲物を狙うような、熱い視線。
水分を含んで、しっとりとした唇。



それは、あっという間に私と0距離になる。



ーーーーーーーーー



いつもの可愛いキスではなく、
荒く、絡むようなキス。何度も。何度も。

吸い付き、離れ。
舐めて、離れ。
甘く噛んで、離れ。


『、は…っ』
「…、ふ」


ちゅ、ちゅ、と音をたてて、
お互い呼吸もままならないほど、何度も。


「ん、…やっ、」
『……A、っ』

いつもと違うカンタくんに
ほんの少し恐怖を感じ、抵抗しようと試みるも、
お酒の匂いと、
カンタくんのものとして染み付いた
柔軟剤の甘い匂い。
加えて、それに負けないくらい甘ったるい声で
名前を呼ばれて、力が抜ける。
くらくらする。


『は、…っ、かわいい。』


キスの僅かな合間に、至極幸せそうな顔で
私を見つめる。
先程までドアについていたカンタくんの手は、
いつの間にか私の頭に回り、
力強く引き寄せていた。
カンタくんも、男の人なんだなぁと実感する。

『なに、かんがえてんの』

ちゅぅ。下唇に吸い付く。

『A、』

ちゅ、ちゅ。舌が絡まる。

『おれのもの』

ちゅぅ。極めつけは、首筋に。
ぴりぴりと痛みを感じるほど強く。

『ふぁ、…A、おれだけの、…A…』

うわごとのように言いながら、私を抱きしめる。





抱きしめーーーーーー、










瞬間。

カンタくんの全体重が私にかかる。
突然のことに支え切れず、ずるずると2人で
しゃがみこんでしまった。



「か、カンタくん、?!」


気を失ったのかと、とてつもない心配をしたが、
そんな事はなく。
先程までの勢いはどこへやら、すやすやと
規則正しい寝息をたてるカンタくん。



「ちょ、ねーぇー…!」



カンタくんから移ってしまった口癖が、
深夜の玄関に寂しく響いた。






翌日、カンタくんが
二日酔いとトミーくんへの言い訳、
そして私の機嫌取りに悩まされたのは
言うまでもない。

内緒→←知らない【前編】



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(プロフ) - 秋ノ宮紅音さん» ご指摘いただき、ありがとうございます!!すぐに対応いたします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: b757b26083 (このIDを非表示/違反報告)
秋ノ宮紅音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年11月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - うわわ、すごく素敵なお話ですね!更新待ってます!! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - すごくおもしろいですね!次のお話もたのしみにしてます! (2017年9月17日 20時) (レス) id: 59969ce0cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年9月1日 9時

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