知らない【前編】 ページ5
深夜1時
『今日、トミーとごはん食べてくるから、
帰り遅くなる！』
昼間、そう言い残して家を出たカンタくん。
カンタくんがお酒好きじゃないのも手伝って、
トミーくんとのごはんで
こんな時間まで帰ってこないのは、
今までなかった。
でもまぁ、トミーくんと一緒なら大丈夫か。
絶対に無理に飲ませたりしないトミーくんには
カンタくんも私も、絶大な信頼を置いている。
話が弾んでいるんだろうな、くらいにしか思わず、
でも先に部屋で寝るのは
なんだか気が引けたので、テレビをつけたまま
ソファーに横になった。
ーーーーーーーピンポーン
遠い意識の中で、
ぼんやりと聞こえたインターホン。
(カンタくんかな、でも鍵持ってるしなー、
誰だろ。)
ふわふわと考えていると、
ーーーピンポーン
「…ぁ、はーい」
2度目のインターホンで、
体が動いていないことを思い出す。
いそいそと玄関へ向かうと。
「Aちゃーん、あけてー」
ドア越しに、トミーくんの声が聞こえた。
「え、トミーくん？！
待って！今開ける！！」
一緒にごはんを食べた人が、
家主に付き添って帰ってくるなんて。
そんなシチュエーションの理由は、たぶん１つだけ。
ドアを開けた先に待っていたのは、
「ほら、カンタ、着いたぞ。」
『…んー、』
トミーくんに支えられながら
かろうじて立っているような、カンタくん。
「わりぃ、ちょっと油断させすぎたわ。」
トミーくんの言葉通り、
カンタくんの顔は…いや、耳まで真っ赤に
染まっていた。
「ごめんな、こういうのあんま慣れてないかも
しんないけど、カンタのこと頼んでもいい？」
『なにそれとみー、こういうのってなーに、
おれのAに、なにゆってんの、』
「お前の事だよ、酔っ払い。」
『よってねーから！
おれはつよいからぁ！よったりしないのー！』
「はいはい。」
目の前で繰り広げられるやり取りに、
ついていけなくなる。
こんなに酔っているカンタくんは初めて見たし、
もちろんこのカンタくんに耐性なんかないし。
「Aちゃん、中までカンタ連れてくから
そっから先お願いしてもいー？」
そう言いながら、トミーくんが玄関に足を踏み入れる。と、
『…やだ』
急にトミーくんを押しのけると、
覚束無い足取りで自分だけ玄関に入るカンタくん。
そしてあろう事か、扉をばたんと閉めてしまう。
一連の流れを呆然と見ていた私が次に見たのは、
私の知らないカンタくんだった。
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雫(プロフ) - 秋ノ宮紅音さん» ご指摘いただき、ありがとうございます！！すぐに対応いたします！ (2017年11月27日 16時) (
レス) id: b757b26083 (このIDを非表示/違反報告)
秋ノ宮紅音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ！違反報告されます。 (2017年11月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - うわわ、すごく素敵なお話ですね！更新待ってます！！ (2017年10月21日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - すごくおもしろいですね！次のお話もたのしみにしてます！ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 59969ce0cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2017年9月1日 9時
