第９話 交代 ページ11
Aは映画館のような空間の中で胸を下ろす。
(よかった、今回は転ばなくて。
酷いと青アザになるんだよな〜。)
スクリーンには、曲の途中からきたヴィクトル達が映る。
それを見ながら、今回の反省点を探した。
(スピンの速さを少しだけ落としたほうがいいな。
速すぎると、後のジャンプにひびく。
あと、ヴィーチャ達がきた瞬間に集中力が削がれた。
大会本番では、見ている人の動きで演技を左右されるようでは駄目だ。
僕は、僕の演技だけに集中しないと。)
真剣に、１つ１つの反省点を挙げて、頭の中で反芻する。
すると、スクリーンの向こうから会話が聞こえた。
「あ、あの！
卯月Aくんだよね！？
どうしてこんな所にいるの！？」
黒髪で眼鏡をかけた人が問いかける。
(ああ。
彼は確か、勝生勇利くんだっけ。
少しなら会話したことがあったような気がする。)
「はっ、なんだよ。
俺がいちゃ悪いってか？」
「え！？
いや、悪いとか、そういう訳ではなくて、」
あたふた、と慌て出す勝生くん。
(あちゃー、やっちゃった。
僕、年上相手に失礼すぎ。)
あまりの失態に見ていられなくなり、手で顔を覆う。
その間も、王様は勝生くんをイジり続けている。
(王様ったら勝生くんより年下なのに、なんて生意気な態度だ。
穴があったら入りたいどころか、埋まっていたい。)
申し訳なさから現実を逃避し始めると、心にするりと入り込むような声が聞こえた。
「ほら、A。」
顔を覆うのをやめて、スクリーンを見る。
「ああ�燹�
なんだよ、ヴィーチャ。」
「読んだのは君じゃない。
A、戻っておいでよ。」
(やっと、僕に戻れる。)
伸びてきた手に頭を撫でられ、意識が浮上する。
ヴィクトルの手から離れて、ポカン、とこちらを見る2人の正面に立つ、
「やあ、先ほどは悪かったね。
役になりきると、なかなかそれが抜けなくって。
勝生くんは久しぶりだね。
そちらの彼は、初めまして。
僕の名前は卯月A。
君の名前は？」
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るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています！ 感想、とても嬉しかったです！ (2017年1月12日 12時) (
レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです！！！更新頑張ってください！！ (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るろまる | 作成日時：2016年12月11日 22時
