検索窓
今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:56,026 hit

第8話 理由 ページ10

勇利side






ゴスッ






「起きろよデブ!」





ロシアンヤンキーによる蹴りと暴言という壮絶な起こされ方を体験した僕は、時計を見て固まった。









「じゅ、11時!?」








いつもは練習をしている時間である。






「ヴィクトルは!?」





怒られる!と思い、青ざめた。







「ヴィクトルならまだ寝てるぜ。




あいついないと練習始まんねぇんだけど。」






チッ、と舌打ちしてヴィクトルの部屋に向かうユリオの後を追いかける。




そういえばヴィクトルは昨日、日本酒の瓶を2つも空けていた。




(このこと、ユリオに言ったらさらに機嫌悪くなりそうだ。)





僕は平和のために、口を噤んだ。









1時間後、やっと練習場であるスケートリンクはせつに着いた。







ユリオはヴィクトルに小言を言い、ヴィクトルは軽やかに躱す。




僕は少し苦笑いしつつ、リンクに近づく。









瞬間、目を見開いた。









ひょろりとした痩躯。



氷のように透き通った白い肌。



彼特有の、青色を含んだ黒髪。









あまりの美しさに、同じ日本人であるのが恥ずかしくなる。









(・・・卯月Aだ。




これは、この前踊ってた曲かな。)







周りの空気が重い。



王様である彼が、この場を支配しているためだ。









ステップシークエンスの次に、ジャンプを飛んだ。



着氷したかと思ったらすぐにキャメルスピンに移る。








予備動作が極端に少ないため、次が読めない。












(だからこそ、彼から目が離せない。









でも、彼がグランプリファイナルで優勝できたのはそれだけじゃない。)








思わず止めていた息を吐く。






曲はもう終盤に入った。







(疲れてくるはずの後半、しかも曲の一番最後で、)









シャッ、シャッ







氷を削る音とともに、ぶわりと鳥肌がたった。









(世界で彼1人だけが成功させた。





高難易度で、最高得点を叩き出せる技。








4回転ルッツとトリプルトウループのコンビネーションジャンプ。









この偉業を成し遂げたからだ。)







曲が終わってもなお、王様としての威厳を保ち続ける彼を見つめる。







感動と興奮で胸がいっぱいになって、しばらくこれは治まりそうになかった。

第9話 交代→←第7話 王様



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:ユーリ!!!onICE , YOI , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています! 感想、とても嬉しかったです! (2017年1月12日 12時) (レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!! (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るろまる | 作成日時:2016年12月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。