真夏の香り2＊Wooyoung story ページ20
『駄目だよ、それは、最後にやるんだから』
何で私の考えがわかるの!?
不思議に思ってついつい彼を見れば。
『僕を見ちゃ駄目なの、忘れた？』
そう言いながら彼は最初の花火にあっという間に命を与えて。
次から次へとその命を繋いでいく。
暗い空間に浮かび上がるのは、花火の光に照らされた無邪気な顔の彼。
そんな彼の横顔をやっぱり私は何度も盗み見ながら私は答える。
『だから見てないってば!!』
『あははは！』
『絶対見てない!!』
『じゃぁ、そういうことにしてあげる』
彼は不思議だ。
彼の悪戯なペースが私をどんどんと彼の世界へと引き摺りこんでいく。
それが嫌じゃなくて。
寧ろ心地よくて。
会ったばかりの彼が気になって、気になって仕方がない。
『あれ、もう普通の花火無いや。じゃぁ、最後はコレね。コレ、好きなんでしょ!?』
渡された一本の線香花火の先に火が付けられた。
ジジジっと小さな音をさせながら、ジリジリと膨らんでいく火の玉を見つめる。
パチパチと鳴り始めた刹那。
それはボトリ落ちてしまった。
『あーあ。下手っぴ。２本しか入ってないのに』
再び渡された線香花火のこよりを持つ手に、ひんやり冷たい彼の手がいきなり重ねられた。
『線香花火はね、真っ直ぐ持っちゃいけないんだって。少し斜めに持つと火の玉とこよりの接触部分が大きくなるから安定して最後まで楽しめるって。試してみよ!?』
カチッとライターで火が付けられた線香花火は、彼が言うように安定しながら火の玉を大きく育てていった。
だけど私はもう線香花火なんて見ていなかった。
重ねられていた彼の手はいつのまにか熱くなっていたし、彼もまた線香花火を見てはいなかった。
『何で僕を見るの!?』
『見てないよ』
パチパチと舞い弾ける音だけが静かに二人の間に拡がっていく。
『じゃぁ、何で君の瞳に僕が映ってるの!?』
『映ってない』
『嘘。映ってるよ!?』
彼は一体私に何て答えてほしいの？
『だったらあなたが目を閉じてよ』
『僕が閉じるの!?』
『うん』
ゆっくりと瞳が閉じられた彼の顔はまだ幼く、だけど酷く美しかった。
手の中の線香花火が最後の輝きを迎えた一瞬に。
私は彼の唇にキスをしていた。
それは、最初で最後の彼とのキスだった。
今年もまた夏が来た。
夏のこの香りを感じる度に私は彼を思い出す。
今ならきっと答えられる。
だけど、もう二度と過ぎた選択を正すことなど出来やしないのだ。
『何で僕を見るの!?』
今宵始まる恋＊Junho story→←真夏の香り1＊Wooyoung story
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エイジ(プロフ) - 月花さん» お返事遅くなりましてすみません。オーラスから未だ感情が上手く整理出来ずにいます。ひたすらテギョン一色で書き綴った一話でしたが、しがないオクッパの心の内をさらけ出してしまいました。私が次にテギョンに会えるのはドーム。この目にしかと彼を焼き付けてきます。 (2016年7月17日 1時) (
レス) id: d1cda00c22 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 久しぶりにエイジさんのお話が読めて嬉しいのと、このお話はテクペンのエイジさんだからこそのお話だなぁと思いました。その距離も関係性も分かってはいるけど、時折辛くなりますよね。店員さんが何を言ったのかが、気になります。切ないけど素敵なお話有難うございます (2016年6月2日 16時) (レス) id: 2db226cba0 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - じゅんたさん» コメントありがとうございます(*^^*)余りにおひさしぶりの更新ですみません。まだまだ、書きたい気持ちはたくさんですので、のんびりとお付き合いいただけると嬉しいです!! (2015年12月2日 18時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
じゅんた(プロフ) - 久しぶりのエイジWorld堪能しました。ありがとうございます(人´∀｀) (2015年12月2日 6時) (レス) id: 017662d541 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - りえぞうさん» コメントありがとうございます。嬉しいです、オクッパ同士ですね♪これからも、テギョン溺愛で行きますので、また遊びに来てくださいね!!私も、初めまして♪こんばんは♪(*^^*) (2015年8月16日 23時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エイジ | 作成日時：2015年6月7日 22時
