今宵始まる恋＊Junho story ページ21
腕に提げている重いかごの中にあるのは。
沢山の種類の飲み物とプラコップ。
それと、おしぼり。
私は赤い線が幾重にも食い込んだ腕のまま、ドアをノックをした。
返事も無いままに開けたドアの先は、漆黒に包まれた寂々たる空間だった。
ゆっくりと足を踏み入れ、そっと部屋の灯りを付ける。
そして私はようやく彼の存在を確認した。
彼は大きな鏡が備え付けられているヘアセット台に頭を埋めるようにして座っていた。
起きているのかも、寝ているのかもわからない程に彼に動きはなく。
白く透き通るうなじが紅い頭を更に印象付けるように主張させるも、赤いエナメルパンツがそれを打ち消すかのように光を弾いていく。
結局。
彼の消えてしまいそうな迄に綺麗にも儚く、それでいて艶かしき素肌には何一つ敵うものはないのだと私の瞳は悟る。
部屋の隅に置かれているそれらと、新しく持ってきた飲み物等とを静かに交換していく。
その間も微動だにしない彼の背中がどうしても私の目を惹き付けて止まないから。
余計なことだと解っていながらも静かに彼の側へと近づき。
持ってきたおしぼりと、自分が疲れた時に食べようとポケットに忍ばせていた飴玉を一つ乗せたお皿をそっと彼の横に置いた。
踵を返そうとしたその瞬間に掴まれた私の手首。
見るまでもなく分かる彼の大きな手のひらは、冷えていたのか指先は酷く冷たく、掴んだ私の手首から体温を奪うかのように貪欲に締め付けていく。
『少しだけ。少しでいいから。このままでいろよ…』
彼はセット台から顔を上げることなく、私にそう声を投げた。
だけど、私には彼が何て言ったのか解るはずもなく。
それでもきつく掴まれた手首を振り払うことなどせず、ただ私は彼の側に立ったまま同じ瞬の中に身を寄せた。
ともすれば、私の腕の熱は彼に全てを奪われ。
そして解かれた彼の指が宙を掴み直せば。
伏せていた顔を徐に起こし。
片方の口角だけを上げ、最後に鏡に映る己に一瞥をくれた彼は。
置かれていた冷たいおしぼりを袋から取り出すと、 私の赤くなっていた左腕に優しく拡げて乗せた。
『まぁ。見てろって』
彼の背中はその声と共にドアの向こうへと消えていった。
私は独り、部屋で腕におしぼりを充てる。
間もなくして聴こえてきた彼の揺るぎない歌声に一瞬で囚われた。
そう。
彼が掴んだのは紛れもない私の“心”。
今宵、突如訪れたこの夏が。
私をいつまでも焦がし続けていくのだった。
初恋の行方1＊Junho story＊under→←真夏の香り2＊Wooyoung story
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エイジ(プロフ) - 月花さん» お返事遅くなりましてすみません。オーラスから未だ感情が上手く整理出来ずにいます。ひたすらテギョン一色で書き綴った一話でしたが、しがないオクッパの心の内をさらけ出してしまいました。私が次にテギョンに会えるのはドーム。この目にしかと彼を焼き付けてきます。 (2016年7月17日 1時) (
レス) id: d1cda00c22 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 久しぶりにエイジさんのお話が読めて嬉しいのと、このお話はテクペンのエイジさんだからこそのお話だなぁと思いました。その距離も関係性も分かってはいるけど、時折辛くなりますよね。店員さんが何を言ったのかが、気になります。切ないけど素敵なお話有難うございます (2016年6月2日 16時) (レス) id: 2db226cba0 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - じゅんたさん» コメントありがとうございます(*^^*)余りにおひさしぶりの更新ですみません。まだまだ、書きたい気持ちはたくさんですので、のんびりとお付き合いいただけると嬉しいです!! (2015年12月2日 18時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
じゅんた(プロフ) - 久しぶりのエイジWorld堪能しました。ありがとうございます(人´∀｀) (2015年12月2日 6時) (レス) id: 017662d541 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - りえぞうさん» コメントありがとうございます。嬉しいです、オクッパ同士ですね♪これからも、テギョン溺愛で行きますので、また遊びに来てくださいね!!私も、初めまして♪こんばんは♪(*^^*) (2015年8月16日 23時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エイジ | 作成日時：2015年6月7日 22時
