42話・苦しく遠い ページ16
「………こんにちは、瀬名先生」
「おや、みなづ…じゃないね。…松風くん、どうかしたのかい?」
とある、県内の大学病院。
今年、大学に入学したばかりの彼は、昔からの知り合いの医者のところへと来ていた。
青緑と珍しい髪の色をした彼は、目の前に居る医師に表情一つ変えず10枚ほどの紙を渡した。一枚目に大きく『報告書』とパソコンでうたれたような綺麗な字が書かれている。全てパソコンでうたれているのだが、所々誰かの手により赤のポールペンで修正られているようだった。
「…えぇ…っと。松風くん、ここで渡すか?」
少し苦笑いした医師だが、普通に受け取り、紙に目を通し始めた。
医師に渡したのと似たような紙を持った彼は、一つため息に近いものを吐いてから説明を始めた。
「…最近は渡す機会がほとんどないので、時間がある時にと。…神在さんに言われたので」
「あー…。相変わらず、柚葉の人使いの荒さは目立つね」
「えぇまぁ…、そんなこと言ってたら生きてけないんで。まぁ安心してください、斎兄さんに頼んでここの監視カメラには別の映像流してます。……ご覧の通り、『ハナミズキ』の報告書です。えー…、今回のは、1月から3月のです。今年に入り新しく所属した方のプロフィールと、仕事などの報告書です。詳しいことは病院内なので言えないですけど、後で本拠内で話します」
新しく所属した人なんて居たんだね、とうっすら笑う医師は資料らしき紙を机に掛けていたカバンに突っ込む。彼も四つ折りにして、自分のズボンのポケットに押し込んだ。
「松風〜、こんなところに居たのかーよっと」
ガラッと扉が間かと思えば、入って来たのは彼の学校内での友達であった。後ろから抱きつき、にやにやとしている。…相変わらず懲りないやつめ。
「うぉっ!…おい、先生の前でそういうことすんじゃねーって」
「いでっ。だぁってさぁ、もう帰るんだろ?一緒に帰ろうと思ってさ〜…」
こつんと軽く友人の頭を叩き、「んまぁそうだけど…」としれっと友人に返してから「…それじゃあ。今後とも宜しくお願いします」と言い、彼はこの部屋から去っていった。
__松風伶、本名「水無月伶」。ポート・マフィア下級グループ『ハナミズキ』所属の医学生。何せ、弟くんのために頑張ってるとか何とか。
自分はポート・マフィアに所属し、そんな『ハナミズキ』の監視員だ。
たった数人しか居ない『ハナミズキ』は、今、この時さえも。自分の手のひらで、踊っているのだ。
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作者名:風雪妃月 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月24日 7時