31話・遠き願い ページ1
あの後、神無月さんは「学校があるので、これで失礼しますね。それではっ」とツキノ探偵社のオフィス内から出て行った。
そしてボクは今、防音っぽい感じの娯楽室に居ます。だってピアノ、久しぶりに弾いてみたかったんです。それだけ。
昔にお父さんに一曲だけ教えてもらったことがあり、現在でもそれしか弾けません。しかも曖昧にしか覚えてないし。
「ミー…ソソー…、ミーレド…、レーミソーミレー…」
確か、こんなで合ってたはず…。昔っていっても小二くらいだからもう十年は経ってるし、それに右手しか習ってないから、ほんと曖昧なんだよなぁ。
…題名は忘れたけど、ボクは勝手に『光の道』なんてつけてしまっている。絶対に違う、というか違くあってくれ。
歌詞はなくって、音階だけ教えてくれた。無口な父だった。けれど、楽しそうに、いつも微笑んでくれた。大事な、家族だった。
「ゆーめのー…、なーかで…、そーのかーげは…。くーれるーそーらにー、ほーほえーんでー…。
つーきをーまったー、こーのー日々はー、いーつかー、そーらーにー、届くのかー…」
遠き世界 見る術は 何時か胸に残るだろう…
散った思い探すのは 手遅れだって気付いてた____
ぼんやりと、メロディーに乗せて呟いた。
何だ、案外覚えているじゃないか自分。…この歌詞も、中学の時に作ったまんまだ。
『光の道』なんて大層な名前つけてるけど、本当は、この名前が似合うほどのものでもない気がする。…けれど、ボクにとっては、唯一無二の思い出の一つなんだ。
「…聞かれて、ないよね…」
もし、もし。聞かれてたらホント生きていけるかな、こんな奴だったのかって飽きれられるでしょうか(遠い目)
い、いや。流石に大袈裟すぎるか。自称神様の社長が居るんだし、大丈夫大丈夫。いやだからこそ警戒するべきか…?
そういえば、ここの棚に楽譜が何冊かあった。…何曲か弾けるように、練習してみようかな。幸いなことに防音ですから、人にさえバレなければ、ずっと練習できますし。
___父さん。貴方と過ごした思い出が、ボクに新たな一歩を踏み出させてくれたようです。
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作者名:風雪妃月 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月24日 7時