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−Eichi Side−
「Aちゃん、お昼……」
『あっ、英智くん。あと数分で終わるから、ちょっと待って……!』
「ゆっくりでいいよ」
平日の昼休み。
敬人から逃げるように隣のB組へ駆け込めば、真剣な顔つきで机に向かう彼女と、傍に恐らく授業ノートであろうものを片手に持っている仁兎くんがいた。
横目でチラリと黒板を見ると、その内容は現在進行形でAちゃんがノートに書いていることと一致していることが分かる。
__僕の方が、仁兎くんより上手に教えてあげられるのに。
無意識のうちに、まるで根拠のない独占欲が湧き上がる。
今に始まったことではないけれど、こんなにも器が小さい思考をする自分が特に嫌いだと思うわけでもない。
寧ろ、つくづく僕は彼女に惚れ込んでるんだなぁ、なんて思ったりもしていた。
『おまたせしました英智くん』
「ふふ、じゃあ行こうか」
____
『昨日、体育館近くの自動販売機で面白い飲み物見つけたんだけどね……!』
「面白い飲み物? 興味深いねぇ」
ついさっき購買部で買った、「Aちゃんオススメサンドイッチ」を口いっぱいに頬張る僕たち。
こうやって、好きな人とお昼を食べながら日常的な話をするのが、本当に楽しくて仕方がなくて。
『じゃあ、レッスン終わったらちょっと見に行こうよ』
「そうだね。……また、楽しみができて嬉しいなぁ」
すると、突然ぱくぱくと食べるスピードが上がるAちゃん。
これも最近照れ隠しなのだと気付いて、見てるこっちも何故か照れてくるようになってしまった。
.
楽しい時間は過ぎるのが早い、ということはまさに本当で。
午後からの授業のために、Aちゃんとは一旦分かれる。
名残惜しくも、自身の席に着いて教科書等の準備をしていれば後ろから肩を叩かれた。
「こら英智、また仕事をサボったな??」
「……人間、休憩は必須だよ」
正直、顔を合わせずとも誰だかなんて分かる。
「そんなことは知っている。やるときはちゃんとやれと言ってるんだ」
「うん、放課後にきちんとこなすよ。せっかく“ご褒美”もあるからね」
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綺月(プロフ) - やっばいですキュンキュンしすぎて死にそうです (2021年10月24日 22時) (レス) @page44 id: 4b09ec865e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫水 | 作成日時:2020年7月26日 15時