*76 焦り ページ29
*江口side
・
江口「ん〜……」
斉藤「どうしたんですか拓也さん、さっきからずーっとスマホ見つめてますけど」
レコーディングが終了し、現場が一緒だった壮馬が俺のスマホを覗き込んでくる。
画面はAとのトーク画面で、「最近何かあった?」と打っていた文字をプ、プ、プ……と消していく。
斉藤「…A?」
江口「うーん………なんか最近Aの様子がおかしい気がしてさ〜」
斉藤「と言うと?」
江口「や、俺の勘違いかもしれないんだけど、なんか携帯の着信音鳴る度にビクビクしてるっていうか、やけにスマホ気にしてるなーって」
俺が「どうした?」と聞いても「なんでもないです!」と笑顔で返ってくるから、
あまり踏み込まない方がいいのかもしれないと思って、毎回文字を打っては消しての繰り返し。
会おうにも運悪くお互いの仕事の忙しさで長くは一緒に居れないし………
でも、やっぱり何かあるんじゃないかって気になってしまう。
…………まさか、
江口「………浮気、とか…」
斉藤「いや、Aにそんな器用なこと出来ないでしょ」
江口「だよね」
マイナスな言葉が思わず出てしまったけど、壮馬が一蹴してくれて助かった。
「携帯、か…」と壮馬が顎に手を添えて考え始める。
斉藤「……あ」
江口「ん?どした?」
斉藤「いや、Aには疑いすぎだって言われたんですけど」
江口「……なに、話して」
斉藤「じゃあまず、先に謝ります。ごめんなさい」
江口「え?なんで壮馬が謝んの?」
訳がわからずに笑いながらそう言うと、頭を上げた壮馬が「実は……」と話し始めた。
・
江口「は?なにそれ…」
斉藤「すみません」
江口「いや、壮馬の相合傘は全然……いい、けどさ」
Aの元カレ………
たしか、シンヤクン。
まさか待ち伏せしてたなんて………
………ん?
てことは……
江口「Aの様子がおかしいのって、シンヤクンが原因てこと?」
斉藤「それは断言出来ないですけど、可能性は高いですよね」
江口「………A、今どこだろ」
「今どこ?」と送っても、元々返信の早さにバラつきがあるAからの返事はすぐには来ない。
嫌な予感がして電話をかけるけど、発信音がずっと鳴ってるだけで一向に出ない。
焦りと不安だけが、募っていく。
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晴(プロフ) - 井戸さん» 同棲編はほんとに制限ギリギリまで責めようと思ってます(笑) よろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 武田さん» お金は江口くん本人へ!!!(笑) ありがとうございます!!続編もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 陽愛さん» こちらこそありがとうございますです!!!続編の方もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - 同棲編キタァァーー!!!ありがとうございます!! (2020年4月21日 10時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
武田(プロフ) - ウワーーーーーッ!!!!!続編!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!もう!どこに金払えばいいんですか!!!!!有難うございます!!!!! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 784988d0c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2020年3月29日 23時