やめてください江口さん。 2

＊60 行動 ページ13

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木村「2つ、Aのこと本当に大事にしたい」


『っ……』


木村「まっ、俺は100パー後者だと思う」



「相当大事にされてんだよ、お前は」って良平さんは言うけど…………




私は前者の方が可能性が高いと思うんですが……




考えてみれば、江口さんの好きなタイプって、




ふくよかな肉付きのいいお姉さん(安元さん情報)




比べて私は、グラマラスな体型とは程遠いし、お姉さんでもなく3つも年下。




『……良平さん』


木村「んー？」


『色気ってどうすれば出せるんですかね……？』


木村「ぶふっ！！」



めちゃくちゃ真面目な顔とトーンで聞くと、ビールを飲んでた良平さんが吹き出した。


ゴホゴホとむせたあと、バシッと軽くチョップされる。



『いたっ！ちょ、今日叩くの2回目！！』


木村「お前急に笑わすな！」


『私はめちゃくちゃ真剣です！！』



江口さんが私に手を出してこないのは、良平さんが言う通り大事に思われてるからなのかもしれない。


だからと言って、私もただ大事にされっぱなしなのは嫌だ。



『江口さんを誘惑する方法、教えてください！！』

木村「お前ね声のボリューム下としなさい」



良平さんに言われ、むぐっと慌てて自分の口を両手で抑える。


そして、顎に手を添えて「うーん…」と考え込む良平さん。




木村「………じゃあ、1個だけアドバイス」


『は、はい』


木村「Aってさ、えぐに甘えるの下手じゃん？」


『……』




たしかに。



仲良い先輩や同期、後輩ちゃんには抱きついたり、我儘言ったり、結構自分からグイグイ行く方だと思うけど、



好きな人…………江口さんにはあまりそういうことをした覚えがない。




それは付き合う前も、付き合った後も変わらないまま。




木村「だから、これからはえぐにめちゃくちゃ甘えな」


『それは………………無理です』


木村「なんでだよ。恋人だから何も難しくないだろ？」


『むりむりむり！！恥ずかしすぎる！！私が江口さんに甘えてるところ想像して下さいよ！！』


木村「そりゃあ…………すげぇな」


『でしょ！？そのすげぇが何のすげぇか分かりませんけど！！』


木村「でも、えぐを誘惑したいんなら、それなりにAも頑張る必要あるってこと」


『う…………』


木村「行動あるのみ、って言葉はお前のモットーだろ？」


『…………はい』






江口さんに…………







拓也さんに…………甘える。




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