やめてください江口さん。 2

＊59 心理 ページ12

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『…あっ、このおつまみ美味しい！』

木村「まじで？……うわうっま！」

『もう1皿頼みましょうか？すいませーん、この砂肝もう1皿お願いします』

木村「ビールも追加お願いします」



「かしこまりました」と店員さんが個室から出て行き、グラスを手に取って残ってるビールを呑む。


良平さんが連れて行ってくれるお店は何処もおしゃれで料理も美味しくてハズレがない。


…………そういえば、


付き合う前に江口さんが連れて行ってくれるお店もおしゃれな所多いなーと思って本人に聞いたら、



江口「全部良平さんのオススメだから」



って、スンとした顔で言われたことあったなー。



木村「…A、すげーニヤけてる」

『へっ？』

木村「どうせえぐのことでも考えてたんだろ〜」



無意識のうちに口元が緩んでたらしく、良平さんにニヤニヤされる。


この人は本当に人の心を読むのが得意だ。



木村「その様子だったらえぐと上手くいってんのな」


『はい、すごく順調で…………』


木村「…ん？どした？」



ひとつだけ、私の中でずっと引っかかってること。


いや、でもな…………


男性の良平さんに相談するのはちょっと恥ずかしい…………



言うか言わないか迷っていると、そんな私を見て「A」と良平さんに呼ばれる。



木村「言ってみ。なんでも聞いてやるから」


『…………あの』


木村「うん」


『…3ヶ月付き合っててキスより先に進んでないのってどう思いますか？』


木村「うん…………ん？」


『いや、だからっ……付き合ってる彼女に手を出してこない男性の心理ってどうなんですか！？』



もう恥ずかしさなんて気にせずに直球に良平さんにぶつける。


良平さんは一瞬ポカン…としたあと、何か納得がいったようで「はぁぁ…」とため息をついた。



木村「えぐまだ手ぇ出してなかったのか〜」


『良平さん？聞いてます？』


木村「……要するに、Aは江口に手を出して欲しいと」


『そっ…んなこと言ってない…』


木村「でもそれが本音だろ？」


『……不安なんです』


木村「不安？」


『私にそういう魅力ないのかなって……
年下だし、生意気だし……』



もしかしたら江口さんは、エゴで私と付き合ってくれてるんじゃ……なんて考えてしまって。



木村「……俺が考えるに、えぐの心理は2つ」


『2つ？』


木村「1つ、Aに色気を感じてない」


『うぐっ……』




な、なんてダメージの大きさ……！！



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