三試合 ページ5
*
『…んん、』
周囲の明るみに照らされ、ゆっくりと目覚める。
腰に何か重いものを感じ、横を見れば、私の腰をしっかり掴んで寝息をたてる坂田さんが。
あぁ、そっか。昨日。
昨日のことを思い出し、ハッと我に返る。
今思えば、本当にあれは彼の意思だったのだろうか。
優しい彼の計らい?
私が男の人だったら、あんなに好き勝手されるのは絶対嫌。
だとしたら、本当に彼に申し訳無いことをした。
どうやって許してもらおうか。
『坂田さん、坂田さーん、朝です。』
ひとまず起こさねば。洋服着たい。
そう思い、坂田さんの頬をつつくと、
「ふにふにしないれぇ、、」
眠たそうな瞳を薄っすら開け、起きたばかりでまわらない舌とともにふわりと笑う。
昨夜も思ったけど、この微笑みは狡い。
きゅぅっと胸が掴まれる感覚がする。
坂田さんといるとこんなことばっか。
本当何もかもが初めてだ。
「ふふ、おはよ」
のそりと体を起こし首をこてりとまげて言う坂田さん。朝からあざといな。
『おはようございます。坂田さん。…あの、』
昨晩は申し訳ございませんでした。
そう、言葉にしようとすると唇に柔らかいものが触れた。
『ッ!?ちょ、さかたさッ…!』
抵抗するも、男の人の力には敵わず起き上がったはずのベットにもう一度押し倒された。
ぐいっと唇が押し付けられ、口を開けろと舌がつく。
我慢できず酸素を求め口を開ければねじ込まれる温かいもの。
『‥ッ、ぁ、んッ、ふ』
だらしなく声が漏れ出し、体に力が入らなくなる。
クラクラとする頭で坂田さんの胸板を力なく押せば、やっと唇が離れた。
『ッな、に、するんですか』
肩で息をし、キッと彼を睨めば、
「昨日のお礼?」
なんていって心底楽しそうに笑った。
小悪魔だ…この人…
「あ、そだ。名前きいとらんかった。名前は?」
ベットから立ち上がり、まだ力の入らない私を起き上がらせながらふと問われる。
『Aっていいます。』
「Aちゃんか!良い名前やね!」
苗字のほうが良かったか心配したが、にこにこと笑ってくれたので安心した。
『あの、先程言おうとしていたことなんですが…』
和やかな雰囲気の中掘り返すのはどうかと思ったが、坂田さんのキスで遮られてしまったためもう一度口を開いた。
『昨日、私好き勝手やっちゃって…申し訳ございません…』
頭を下げ、坂田さんの言葉をまった。
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さざんか(プロフ) - 終わり!?!?まだまだこれからですよ作者様……!!!うらたさんも志麻さんも登場してないですし、なによりこんないい所で終わるなんて生殺しじゃないですか!!!!続き待ってますから!!!!!!!!!!!😭😭 (2023年1月21日 0時) (レス) @page11 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年9月17日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
よ(プロフ) - 瑠珂さん» コメントありがとうございます。瑠珂様のお言葉で創作意欲が上昇致しました!嬉しいコメントありがとうございます!今後ともこの物語をどうぞよろしくお願い致します。 (2020年2月17日 16時) (レス) id: 4992fa2252 (このIDを非表示/違反報告)
瑠珂(プロフ) - 更新ありがとうございます!続き読むのがめっちゃ楽しみです!! (2020年2月17日 14時) (レス) id: da9dad6d7f (このIDを非表示/違反報告)
よ(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。好きといっていただき嬉しい限りです!このお話を好きになっていただきありがとうございます。これからもよろしくお願い致します! (2019年12月1日 10時) (レス) id: 4992fa2252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんり | 作成日時:2019年11月24日 10時