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体育館の入り口に生徒が渋滞している。
思っていたより混んでいるので、私たちは無理に前には進まずに待つことにした。
『真由ちゃん』
「ん?」
『私の前の席に座った男子のこと、知ってる?』
“ええと…” と、真由ちゃんは空を見上げた。
「どんな人だっけ?」
『うっそ』
私は目を見開いて真由ちゃんを見つめる。
あんな美少年の顔をこの短時間で忘れられる訳がない。
『覚えてないの…?』
「誰か来たのは覚えてるけど、知らない人だったし…」
『でも____った?!』
「ハーイお喋りはあとあと。早く行け(笑)」
パスッという軽い音の割に鈍い痛みをかましてきたのは、
「ニノちゃん!」
去年の担任の二宮先生だった。
手に持ってる、あの出欠名簿で私の頭を叩いたんだろう。
「ニノちゃん、今年も私達の担任?ねえ!」
「さあ?どうでしょう」
「ええ!ニノちゃんがいいニノちゃんがいい!」
「こんなとこで駄々をこねるんじゃないよ(笑)」
ああ、そういえば真由ちゃんは、ニノちゃんに片想いしてるって噂、聞いたことある。
でも、先生だって楽しそうだし。
実はもう、付き合ってたりして?なんて。
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「ああもうどうして?!」
結局私達の担任は、怖いと噂の松岡先生だった。
隣のクラスがニノちゃんで、真由ちゃんは今にも泣きそうだ。
教室に戻ると、クラスの大半の人たちが、今年の担任は大はずれだ、なんて騒いでて、私も便乗して “最悪” なんて言ってみる。
真由ちゃんの方に身体を向け、みんなと共鳴してみたり。
なんで最悪なの?
なんとなく、何かが聞こえた気はした。
けど、
「Aちゃん…」
『ん?』
真由ちゃんの視線で気づく。
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「なんで最悪なの?」
私の前の席から、綺麗な瞳が、私をしっかり捉えていることに。
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鈴木カルロス三郎太(プロフ) - ゆっちゃんさん» えええありがとうございます(;o;)更新遅くなりましたが地道に続けていくのでよろしくお願いします。 (2018年9月19日 15時) (レス) id: 1320e2bf1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - これ読んでるとなんか幸せな気持ちになりますww この作品好きです(о´∀`о)応援してます! (2018年8月25日 1時) (レス) id: f0e7248429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴木カルロス三郎太 | 作成日時:2018年8月20日 22時