＃30 ページ31
僕を人殺しにしないでくれ______
その言葉は、今も亜門の心に、深く突き刺さっていた。
そしてそれは、徐々に存在感を増してきている。
もしも、篠原さんの予想が当たっていれば“彼”は…？
_____
「おい、どうした。雨に濡れてるぞ」
パートナーの声で我に帰った亜門は、はっと顔をあげる。
「すまん…」
亜門は慌てて、屋根に入った。
嘉納の屋敷へ潜入当日、昨日とはうって変わり空には黒い暗雲が立ちこめていた。
「しかし、こんな雨が強くなるとは聞いてなかったな」
アキラは、すっと両手に持っていたビニール傘の一方を亜門に差し出す。
「使え」
亜門は、まるで珍獣をみたかのように、瞳を大きくした。
「ありがとう。…金は後で返す」
それはやっと絞り出したような声だった。
「私はそんなにケチじゃないぞ」
アキラは、フン、と鼻を鳴らしそっぽを向く。
…やっぱり部下の扱いは難しいな。
ただ、亜門は、アキラ自分へのほんの小さな心遣いが嬉しかった。
心の天気もいくらか晴れたような気がする。
「あっ、いたですいたです〜」
底抜けた明るい声。そのあとに、少しか細い声が重なる。
「什造くん、傘、傘！」
Aだ。すっかり什造に慣れてしまっている。
「いやー、亜門待った？」
篠原は、額に滲んだ汗をタオルでふく。
「待ちました、少し。篠原さんたちこそ、何かあったんですか？」
「…乗り換えに失敗しちゃってね」
がっくりと肩をおろした後、ちらっと什造を見やる篠原。何があったかは、大体予想がついた。
「まぁ、とりあえず間に合って良かった。すぐ出発しよう。私に付いてきて」
「「はい！」」
雨降る東京に、放たれた白鳩達。
ちょうどそのころ、“金木研”が、玄関に到着していた____
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アリス - シロナとクロナって書いてありますけど、ナシロとクロナじゃないですか？?(・_・;? (2018年11月9日 16時) (
レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
YUUto1005 - 篠原さんの財布がー (2018年8月14日 9時) (携帯から) (レス) id: 9e44ee148d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイスゥ | 作成日時：2018年3月27日 12時
