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#26 ページ27

彼の名前を見たとき、背中がひんやりと冷たくなったような気がした。

【有馬 貴将】

プルルルルルル…

コール音は私の気なんて知らず、鳴り続けている。

…ええい、もう出ちゃえ。

「もしもし」

自分の声が、少し上ずっているのが自分でも手にとるように分かった。

「…あぁ、もしもし。A」

彼の声音は昨日と1ミリも変わってはいなかった。

そうか、昨日か。

新鮮なことだらけで、昨日から今までの時間が、一週間にも、二週間にも感じられている。

「どうしたんですか、こんな時間に」

十二時二十五分…普通ならば、彼はもう局に行き、地下にでも潜っている時間だった。

まさか、休みだろうか。…いやいや、そんなもの。彼にあるはずがない。

「…寝坊した」

その有馬さんの絶望的な状況に、私は耳を疑った。

「本当ですか?大変じゃあないですか!」

彼が怒られるのは確実だろう。…宇井準特等に。
部下に怒られる、上司って日本のどこを探しても、多分有馬さんくらいではないだろうか。

「お願いだ、A。朝、電話はしてくれないか。頼む」

そして、想像通りのお願いをされる。私は、いつもの決まり文句を言う。

「無理です。目覚まし時計セットして下さいよ」

「…電話のコール音じゃないと起きれない」

___驚く程天然で、

「じゃあ、他の人に電話してもらってください」

「…そんなの頼める人A以外にいない」

___どこまでも、胸の中が読めない。

「目覚まし時計の音を、電話のコール音にすればいいじゃないですか」

あぁ、言ってしまった。私の中にじわじわと後悔が広がっていく。

「…そんなこと出来るのか?」

「出来ますよ!宇井さんに聞いてみてください」

きっと彼なら詳しいだろう。設定がおかしくなってしまった時、一度彼に助けて貰った事があった。

「…分かった、聞いてみる。ありがとう、A」

「いえ、…」

もう、彼にかける言葉は見つからなかった。

「それじゃあまたね、A」

「…あ」

ツーツーツー
【会話が終了しました】
その文字が、画面に大きく映し出された。

三分三十秒。

たった、これだけだったんだな。

何かを期待してしまっていた自分がいることに、今更気がついた。

目頭がふいに熱くなる。
いやいや、泣いちゃ駄目だ。…今は、捜査の途中なのだから。

一人で無理やり、作り笑いをしもう一度、あんていくの取っ手を引いた。

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設定タグ:東京喰種 , 鈴屋什造 , 有馬貴将   
作品ジャンル:アニメ
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アリス - シロナとクロナって書いてありますけど、ナシロとクロナじゃないですか??(・_・;? (2018年11月9日 16時) (レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
YUUto1005 - 篠原さんの財布がー (2018年8月14日 9時) (携帯から) (レス) id: 9e44ee148d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アイスゥ | 作成日時:2018年3月27日 12時

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