＃21 ページ22
鈴屋くんは、クルトンを箸で器用につまみながら言う。
「鍵がどっか行っちゃって家に入れなかったんですよー」
「えぇっ」
つまり、一晩中外で寝ていたということだ。
放置して帰った篠原さんも凄いが、ここでヘラヘラして、なんとも無さそうにしている鈴屋くんは怪物なのではなかろうか。
「鍵がないのも不思議ですけど、もっと不思議なことがあったんです。昨日いつの間にかお家についていたんですよ〜」
…どうやら知らないらしい。
「篠原さんが送ってってくれたんだよ、おんぶして」
「そーなんですか!?」
什造は驚いた、と手を軽く開いてみせる。
くっ、反応がピュアすぎる。サンタの輩も信じている類なのでは…!?
Aは、クスリと微笑む。本当に、【大きな天使】みたいだ。
_____20区支部に到着する前。
「あっちに行ったら、私と、あともう一人とパートナーだからね」
「トリオ、ですか？」
かなり珍しい形態だ。上等以上がトリオを組み、sレートや、激戦区への対策がとられることは、たまにある。
しかし、20区のような比較的落ち着いた区でそれがみられることは少ない。
「うん。ちょっと、厄介な子と組まされててね…。鈴屋什造、っていうんだけど…」
聞いたことのない名前だ。…多分、同期じゃない。
「どんなふうに“厄介’’なんですか？」
「いや、“厄介’’っというか…。普通にみたら、厄介かもね」
篠原はカリカリと頭をかく。ちょうどいい言葉を探すのに苦戦しているようだった。
「【大きな天使】…そんな感じかな。純粋すぎて、何色にも染まっちゃうっていうか…。大人の世界を全く知らない、みたいな」
「ますますよく分からないです」
Aは頭を捻った。どんな人間像なのか想像もつかない。
「まぁ、会えばすぐ分かるさ。ちょっと、ムツカシイ所もあるけど、Aならきっといいパートナーになれる」
篠原はうんうんと強く頷く。どこから、その自信が生まれてくるのか検討もつかない。
私がアカデミーで友達がいなかったことを忘れているのだろうか。
…気がつけば、20区支部は目前に迫っていた。
____
「A、また何考えてるです？」
什造の声で現実に引き戻された。全く、食べ出す気配がない私を見て不審がられてしまったらしい。
「何でもないよ、早く食べるからちょっと待ってて」
慌てて、キャベツを一気に口に放り込む。むせそう。
「そうしてください、早く局で鍵を探しましょう！」
えいえいおー、と手を大きく振り上げる什造。つられて私も小さく手を挙げた。
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アリス - シロナとクロナって書いてありますけど、ナシロとクロナじゃないですか？?(・_・;? (2018年11月9日 16時) (
レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
YUUto1005 - 篠原さんの財布がー (2018年8月14日 9時) (携帯から) (レス) id: 9e44ee148d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイスゥ | 作成日時：2018年3月27日 12時
