矢っ張り裏から操る男 ページ38
カルマside
「ねえ、結局カルマってさ」
中村ちゃんが、真剣な顔で俺に問う。
「結局Aちゃんの事好きなの?」
「え?何で?」
ごく自然に返すと、中村ちゃんはもどかしそうに言った。
「だぁから、磯貝の店でAちゃんに無理やりキスしたりしたんでしょ?下手したらセクハラだよ、セクハラ」
「その台詞、少なくとも中村ちゃんには言われたく無かったよね」
軽口を叩くと、彼女は気怠げに、まあそうなんだけど、と認めてから俺に結論を迫る。
「で?どっち?」
「別に、面白い娘だなって思うだけ」
Aちゃんは本当に面白い。色々謎だし、ゴリラパワーだし、ナイフの扱いに異様に詳しいし。そのくせ結構可愛いのもギャップがあって面白い娘だ。
「え、本当?でもさ、私だから知ってるけど、カルマって、あんま特別に思ってない娘にそういう事しなくない?」
中村ちゃんに滅茶苦茶疑われる・・・まあ、そういうゴシップ大好きだもんなこいつ。
「違うって、あれは、中原さんとAちゃんをくっつける為の俺の策略」
そこまで言うと、中村ちゃんは途端に納得した様にニヤリと笑った。やっぱり彼女は賢い。
「俺は割と最初から、あの二人お似合いだな〜って思って見てたんだよ。でもあのままほっとくと死んでもくっつかないから、苦肉の策」
「じゃ、近いうちに、カルマの苦肉の策のおかげであの二人をいじり倒せるって訳ね」
感謝しよう、とでも言いたげな偉そうな表情に、俺は親指を立てる。
「まあカルマの事だから、本当にそれだけなの?とは思うけどね〜、おもちゃが増えるなら些細な事だよ」
肩をすくめた中村ちゃんを見て、俺は一瞬だけ背筋を冷やした。
・・・彼女に言った事は、半分本当で、半分は嘘だ。
本当はAちゃんの事が、ちょっと好きだ。
彼女が転校して来た当初から、ちょっかいをかけてみたりしてるうちに、Aちゃんと話すのが好きになっていた。
でも、近いうちに俺は気づいたんだ。Aちゃんは、中原さんとくっつくのが最善なんだって。
俺にからかわれている時より数段楽しそうな彼女を見て、俺は初恋を飲み込む事を決めた。
Aちゃんとは、下の名前で呼び合えるくらいの関係が丁度いい。
「・・・幸せになれよ、Aちゃん」
俺の独り言は、誰にも聞かれる事なくすぐに消えた。
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☆天香☆ - ちゆき♪☆さん» 確認しましたが、確かに「ベイビー」でした!ボカロ好き故にドヤ顔で使ったのですが、間違えていたと知りお恥ずかしいです・・・修正させて頂きました、申し訳ありません!ご指摘ありがとうございました! (2019年12月1日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
ちゆき♪☆ - 18ページのロキの歌詞、ベイベーではなくベイビーでは?間違っていたらすいません。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 61c2bf0dba (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 梓季さん» 俺自身もあそこは非常に楽しく書かせて頂いたところですww同じく楽しんで下さった方がいて嬉しいです!学校始まったので頻度落ちると思いますが更新頑張ります! (2019年8月29日 19時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
梓季(プロフ) - 中也もカルマも大好きなので2人が喧嘩してるのが想像出来すぎてニヤニヤしてしまいます( ̄∇ ̄)これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年8月28日 20時) (レス) id: ae84a91129 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 西園寺氷空音さん» か、感激です・・・!本当に嬉しいです!ありがとうございます、更新頑張りますね! (2019年8月23日 13時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2019年8月1日 14時