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午前中の練習を終えると、午後からは個人スケジュールに分かれる。
ソユンはラジオ収録、ユンジは雑誌撮影で、かくいう私は1人だけ午後のオフを貰っているのだが。
「...ユンギさんが、私を?」
目の前のユンジはうんうんって頷いた。
彼女の言うことによると、今事務所の作業室の方にユンギさんが来ているようで、私を呼んでいるらしかった。
肩の手術を終えたばかりだというユンギさんは今活動休止の真っ最中で、お会いするのも久しぶり。
「どうしても無理だったらすぐに帰って来ていいから」
私に対して過保護すぎるユンジでさえ、ユンギさんとは会わせたがっているみたいだ。
チラッと彼の姿を脳内に思い浮かべてみて...うーん、多分、大丈夫だと思うけど。
基準は本当によく分からないけど、これもまたなんとなくユンギさんなら大丈夫なような気がした。
「わかった、行ってくるね」
ユンジにヒラヒラと手を振られて、私は1人ユンギさんの作業室へと向かった。
「...よぉ」
「お久しぶりです、ユンギさん」
二度ほどノックをすると扉が開いた。
中から出てきたのは肩に大きなサポーターをつけたユンギさんで、パソコンには沢山の音の羅列が並んでいる。
休養中も曲を作りにやって来ているのか、ともう尊敬の域を超えるワーカーホリックっぷりだ。
ユンギさんは私の顔を数秒じっくり見つめたかと思うと、急にフッと口角を上げた。
「...?」
「やっぱ俺は大丈夫なんだな」
"やっぱ"、その言葉の真意が分からなかったけど、ユンギさんに対して恐怖が1ミリも湧き上がってこないことは事実だった。
久しぶりに会ったのにも関わらず、彼の背中はどこか安心感さえ覚える。
「お前、俺のこと男として見てねぇもんな」
「え、」
「...そこ座れ」
当のユンギさんはというと、肝心なことは何も言わず狼狽える私を見て意地悪く鼻で笑うだけだった。
そこ、とユンギさんが指をさしたのは作業室の中に堂々と置いてある大きなソファ。
...よく分からないけど、ユンギさんは私のことを私自身よりも理解しているようだった。
記号ばかりの作業中の画面から一転、大きな赤色のマークが浮び上がる。
「...YouTube?」
「お前と一緒に見たいものがあんだよ」
...それが何を指しているかは、言われなくてもすぐに分かった。
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てこゆの(プロフ) - izu^^さん» 一日で!笑一気読みありがとうございます、、笑笑こちらこそ読んでいただけて嬉しいです!^^ (2020年12月2日 19時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
izu^^(プロフ) - 偶然この作品に出会ったのですが、楽しくて1日で6まで読んでしまいました!!素敵な作品ありがとうございます!! (2020年12月1日 17時) (レス) id: 6a22bceaf6 (このIDを非表示/違反報告)
てこゆの(プロフ) - b_sr_mさん» えぇ!い、1番ですか...!?笑光栄ですありがとうございます(TT)(TT)励みになります〜!更新頑張ります!!!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
b_sr_m(プロフ) - 占ツクで1番好きと言っても過言ではないくらい好きでいつも読ませてもらってます!更新頑張ってください! (2020年11月29日 22時) (レス) id: 642656ffac (このIDを非表示/違反報告)
てこゆの(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます〜!!えぇ!とっても嬉しいです、、、!更新頑張ります!!ありがとうございます〜! (2020年11月23日 9時) (レス) id: bebd489c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:key | 作成日時:2020年11月2日 21時