好きならいつ始めても遅くはない sixth

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＿＿＿終わったように見せかけて、歯車は見えないところで狂い始めていた。














騒動後、初めての番組収録。

喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。色々と話題になったおかげか私個人へのオファーが以前に比べて格段に増えた。

次のカムバへ向けての準備もあらかた終わっているし、代わりに年末の表彰式ラッシュやコラボステージの練習はあるがこれからは表に立つ方の仕事が多くなると思う。

何度も経験しているもののやっぱり緊張して、共演者への挨拶を終えると急いで御手洗へと向かった。



「こんにちは」

「...？はい、こんにちは...」

この局での収録ももう三度目だが、今日初めて見たスタッフさん。

見たところ若そうな男性だから、新人さんかな、なんて思っていた。





「...............っ、！」

あまりにも一瞬で、声が出なかった。

通りすがりに掴まれた手首。

そしてそのまま引き摺られるようにして空きの控え室に連れて行かれて、乱暴に投げ飛ばされた。

その勢いのまま床に体を強く打ち付けてしまい、一瞬で思うように動けなくなる。

何が起こったのかよく分からなかった。

ただズキズキと痛む左半身の感覚と、薄暗い部屋で目が合ったその人物だけはハッキリと認識できた。









『君との契約は解除させて頂く。もちろん、事務所にも報告させてもらう。』









「..............悪いのは、お前の方だからな」

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