何故か布団が一枚しかない ページ7
ー
「嘘はだめだよ。その気になっちゃってるくせに。」
『……っ、』
時透の肩を掴んで引き離そうとするが力が入らない。
身体はとっくに受け入れているのに頭が追い付いてないだけだからだ。
私の抵抗なんてものはなんのそので、彼は私の耳を執拗に責めながら下へと唇を這わせて、そのまま頸に噛み付かれて強く吸われる。
ちりっとした痛みと共に甘い痺れが身体に広がっていった。
『ひっ……ああっ……』
「…ん…、可愛い痕がついたよ。これが、僕があなたを女性として意識してるっていう印。つづきは、次の合同任務の時にね。」
こちらに向けられていた感情を唐突に暴露された挙句、
熱を持て余した私を放ったらかしにして、くるりと背を向けてすぐに寝息を立てる時透。
いやいやいや。
ここまでしておいて?
もっとされたいと思ってしまうもどかしさを煽られた。
こんなに年端も行かぬ少年に、焦らされた。
ふつふつと怒りさえ込み上げるが、隣でこんこんと眠る綺麗な顔をのぞきこんで、ぷにっと頰を押してみるだけに留まった。
身体が軽く汗ばんで冷えてきたので、布団に潜り込んで時透の背中を見つめて眠ることにした。
猫みたいに気まぐれで、ずるいやつだと思った。
***
朝、目覚めると隣はもぬけの殻になっていた。
合同任務明けに即別行動なのは普通だが、あんなコトしといてよく何も言わずに帰れるなとは思う。
これでは、身も心も火照らされたまま、最後に見た時透があんなに欲をむき出しにした姿のまま、意識して次の合同任務を待つことになる。
…むしろ、それが狙いか?
自分の屋敷に帰ると、蜜璃が遊びにきていた。
ぶんぶんと手を振り、乳を振り、駆け寄ってくる。
「Aちゃんっ!無一郎くんと任務だったんだよね!?ウフフ…じつは前から無一郎くんにAちゃんのコト色々聞かれて、気になってて……あれ、首に怪我してるっ!?」
あ、そうだった。
こんなモノまで身体に刻みつけて。
忘れるな、とでも言われているようだ。
すり、と首もとをさすって、柔らかな唇でつけられたあの感覚を思い出す。
「赤い痕になっちゃってるねっ?どうしたのっ!」
『うん。猫に噛まれた。』
─────────────────────────
藤の家には布団は必ず一枚しかありません。
クール系夢主さんと無一郎くんとの掛け合い結構すき。
余裕なくなっていく様子が良いんですよお。(暗黒微笑)
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まちゃむん | 作成日時:2023年11月21日 19時