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話す時間があまりなかったと言われたが、そうだろうか。
それなりに会話をした記憶もあったのでAとしては今ひとつピンとこない。
『…一外交官としてはかなりお話しさせていただいた方だと思いますが』
「それは連絡事項や必要なことだろう。それ以外ではいつかの朝くらいしかまともに話していない」
言われてみればそうかもしれない。
この数日間で一番会話したのはオスマンだが、仕事の話以外では鬱やコネシマ、シャオロンに声をかけられた回数の方が多いのだ。
そう考えれば彼の言うこともわからなくはないが、総統の立場でそれを言うだろうか。
グルッペンは思案しているAを一瞥すると、ワインを一口含んで少し話題を変える。
「滞在はどうだった？」
『皆様のおかげで快適に過ごせました。ありがとうございます』
「結局仕事をしていたとも聞いたが」
『黙って寝ている訳にはいきませんでしたから』
「別にそれでも良かったんだがな」
ふと笑みを浮かべてまたグラスを回す。
本当にただ会話を楽しんでいるだけのようだ。
初対面の時のような刺さる視線や威圧感はすっかり収まっていて、随分と丸くなった印象を受ける。
「あいつらとも上手くやっていたようで何よりだ。うちの連中は身内には甘いが、どうでもいい奴には冷たい奴らばかりだからな」
『オスマンさんもおっしゃっていましたが、あまりそのようには感じませんでしたね』
「これまでで受け入れられたからだろう。珍しいことだぞ」
よく言う。
楽しそうに笑うグルッペンを見つめてそう思う。
一番身内に甘そうで、興味がなければ即刻切り捨てそうなのは目の前の彼だ。
幹部達の態度が柔らかかったのも、元はといえば彼とのやり取りがあったからだというのに。
「…何を考えている？」
バッチリと合ってしまった視線、少し見つめすぎたようだ。
久々に受ける探るような眼差しを遮ってワインを一口。
舌に残る独特の渋味を味わいながらAは笑顔を浮かべて誤魔化す。
『特には。強いて言うなら少々失礼なことを』
「ほう？是非聞かせてもらいたいものだ」
『先程の笑顔を社交場でお見せになられたら諸国からの印象も変わるのではないか、と』
きょとんと目を丸くするグルッペン。
しかしすぐに昼の茶会の話題だと思い当たったのか、少し拗ねた表情に変わる。
「…Aもパーティーに行けと言うのか」
『いいえ？私はこの国の者ではありませんから何とも』
当たり前のことを告げたのに彼の眉間に少し皺が寄った。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
