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笑いが落ち着いてきたところで改めてAへと向き直る。
自身のせいとは言え幾分か軽くなった空気にグルッペンは密かに苦笑しながらも口を開いた。
「先程の会談は素晴らしいものだった。流れは勿論説明もわかりやすく言葉選びも正確。些細な疑問にもきちんと答え、トントンの嫌味な質問ですら笑顔で誠実に対応した。特に意見を挟まなかったにも関わらず私やオスマンの様子にも気を配っていただろう、観察眼も大したものだ」
『お褒めいただきありがとうございます』
「当然の評価だ。何より私の言葉や態度に物怖じしないどころかしっかりと交渉材料を混ぜて答えてくる。実に気に入った。貴国との外交は今後も君にお願いすることになるだろう」
暗に言葉裏まで読んでいることを含めたが、Aはそれを気にする素振りもなく嬉しそうに頭を下げた。
むしろ読んでくれて良かったと言わんばかりである。
彼女は一体どれだけ答えを用意していたのか。
どこまでが想定の範囲内なのか。
隙が無いどころか先回りしてくるのだから油断ならないが、普段中々そのようなやり取りができる相手が居ない為考えるだけで少し楽しくなってくる。
「君のような優秀な人材ならうちに引き抜きたいくらいだがな」
『光栄ですが、私はオスマン外交官殿の足元にも及びませんよ』
その上深追いしようものならするりと躱されるのだ、これは面白い。
これが普段からなのか外交専用なのかはわからないが、少なくともグルッペンはもうしばらくAとの会話を楽しむ気になっていた。
「次回の外交は決まっているのか？」
『まだ未定ですが、行うとすればオスマン外交官殿とスケジュールを調整してからになるでしょう』
「君の都合を優先して構わないゾ。できればまたこちらへ来てもらいたいからな」
『でしたらまた総統閣下に見合う菓子を見繕って来なければなりませんね』
「次回も私が参加するとは限らないが？」
『本日お会いできた以上ご挨拶に伺うべきかと思ったのですが、ご迷惑でしょうか？』
「いや、迷惑ではないな」
『良かったです。チョコレートもお気に召していただけたようですし、気合いを入れて準備いたしますね。参考までにお聞きしたいのですが、特にお口に合ったのはどれでしたか？』
気づけばチョコレートの話題に戻ってきている。
自分がトントンを追い出した時に使った話題だ。
やられたな。
「何手先まで読んでいる？」
そう問うとAは笑顔で答えた。
『私は一歩後ろを歩いているだけですよ』
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
