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応接室らしき部屋を出てオスマンと共に廊下を歩いていく。
こんな短い道中でも会話を広げていくオスマンの話術にAは感服しきりだった。
彼女も普段やっていることなのだが、自分のことは完全に棚に上げてオスマンの紳士的な対応を観察してしまう。
互いへの警戒心は既に薄れているのだがこればかりはもう職業病だ。
そして思う。
やはりこの人は味方にしておくべきだ。
全力で仲良くなろう、と。
そうこうしている内に着いたのは装飾の豪華な大きめの扉。
オスマンが躊躇いなくあっさりとその扉へノックする。
そうして招かれた部屋、恐らく総統室だろう。
部屋の奥の机には大量の書類が見え、目的の人物はその向こう側の革張りの椅子へ腰掛けていた。
丁度報告にでも来ていたのか玄関で会ったトントンが机の前に立ってこちらを振り返っている。
「…来たか」
少し低く呻いたグルッペンは椅子から立ち上がり歩いてくる。
デジャブのようなものを感じているAを視界に入れると、座れと近くのソファーを手で示した。
たまらずオスマンへ目配せすると、彼は肩をすくめて口を開く。
「グルッペン、これから城の案内するところでな。その前に彼女が挨拶来たい言うから立ち寄っただけなんやけど」
「ほう、忘れてはいなかったか。殊勝な心がけだ」
『お邪魔しております、総統閣下。ご挨拶が遅れて申し訳ございません』
「そうだな。もう少し早く会えるものかと思っていたがな」
今日威圧感すごいな、と言うか何で若干棘があるんだ、圧力をかけたのにすぐ来なかったからか。
こっちだって忙しいんだよ！と叫びたいのを我慢していると、ため息を吐いているトントンの姿が視界に入った。
ストレス増やしてすみません書記長、だがやはり実行させて頂く。
『申し訳ございません、残念ながら仕事が立て込んでいて中々都合が付けられず、伺うのが遅くなってしまいました。せっかく総統閣下直筆のメッセージまで頂いたというのに…』
「え？直筆？」
すぐに反応したトントンとは逆にグルッペンの動きが止まる。
ようやく合った視線は何かを訴えているようだが、Aは全く気づかないふりをして微笑んだ。
『私などにわざわざ一筆書いて頂き、ありがとうございます。実はとても嬉しかったので、頂いて以来持ち歩いているんです』
「…A外交官殿、拝見しても？」
オスマンが笑いをこらえる中、受け取ったカードの筆跡を見て顔をしかめるトントン。
その様子にAはいい笑顔を浮かべていた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
