【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱

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その後鬱はトントンに引き摺られていき、Aは予定通りオスマンとの会談を開始した。
と言っても今回はあちらも両国の親睦を深めるのが目的らしく、世間話から各国の情勢まで様々な話題を茶請けにお茶を飲む。

変わったことと言えば雰囲気は前回よりも断然明るいものになった。
条約を結べたからか総統のお眼鏡に叶ったからかはわからないが、笑顔も自然なものが多いし今日はあまり探られている感じはしない。
情報交換兼お茶会といった感じだ。

そしてオスマンの口調が少し砕けたものになった。
先程のAの素の言葉を受けてなのか、仲間内で話していたような訛りも出るようになった。いい傾向である。


「いやあ、A外交官殿とは話も合うし考え方も近くて気が合いそうです。今後は個人的にも仲良うできたら嬉しいんやけど」
『私もです。オスマン外交官殿とお話するのは楽しいですし、いろいろと勉強になります』
「本当ですか？なら親睦の第一歩として、もう少し親しみを込めた話し方をさしてもらっても？」

おお、踏み込むな。
本当に何を考えてるんだこの人。
相変わらず読めないが、別に問題はないのですんなり了承する。
すると彼は嬉しそうに笑って肩の力を抜いたようだった。

「じゃあ普段の喋り方でいかしてもらうな、Aちゃん。ああ勿論公式の場や外交官として話す時はちゃんとさしてもらうから安心して」
『わかりました、オスマン外交官殿』
「オスマンでええよ。Aちゃんも肩の力抜き。今日はただの親睦会やし」

そう笑うがこれは呼び捨てにしろということか？
いや無理だな、それはない。
こちらも少し態度を崩すくらいで許してもらおう。

『では僭越ながら、オスマンさん、とお呼びしても？』
「まあとりあえずはええかな。これで仲良しめう」
『め、めう？』

謎の語尾に困惑しているとオスマンが面白そうに笑う。
私のアホ面が面白かったんですか、そうですか。
しばらくそんな調子で会話をしていたが、彼は一度時計に目をやるとこちらの様子を見てゆっくり立ち上がった。

「じゃあ大丈夫やったらそろそろ城内見て回ろか。行きたいとこある？」
『行きたい、と言いますか、ご迷惑でなければ総統閣下にご挨拶に伺えればと』
「ああ、せやね。むしろ行かんとうるさい」
『そこまでですか』
「間違いなくな。めんどかったらコテンパンに言い負かしてもええから」

総統相手にそれでいいのか。
悪戯っぽく笑うオスマンにAは再び吹き出すことになった。

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