45.私はプロデューサー ページ45
___無音、そして、大歓声。
長いドラムロールが鳴り終わり、眩い程のスポットが当たって、会場のスクリーンに映し出されたのは、何とも可愛らしく五人で手を繋いだTricksterの姿だった。
惜しくも敗れたのはEden………なんて、健闘を讃えるアナウンスも、今は酷く嫌味ったらしくて。
悔しくて、胸が痛くて、でもめちゃくちゃ達成感があって。
それら全てが混ぜ込まれた、何とも言えないこの感情にどんな顔をするべきか悩みながら、口だけは笑って相手に敬意の拍手を送る。
「……待って、なんでアンタが一番泣きそうなんすか…」
「だって、だってぇ…」
言葉に出来ずにボロボロと涙が溢れれば、漣くんは更に慌て出す。
そんな私たちを横目に見た他三人は、呆れたように、けれども心底優しい顔で笑っていた。
…多分だけど、日和くんだけはわかってるんだろうなぁ、なんて思う。
ステージ上で肩を組む彼らを羨ましく思ってたことも、最初で最後、皆で横一列に並んでこの場に立てていることが、心底嬉しいってことも。
…全部全部、小っ恥ずかしいから絶対に言ってやらないけれど。
「お疲れ様ー!」
誰かのそんな声が聞こえたかと思えば、次第にその声は大きくなっていって、勝利を収めたTricksterを祝う声と、惜しくも敗退したEdenを讃える声に会場全体が包まれる。
みんなで一斉に頭を下げて、この後に控えているアンコールの為にそさくさとこの場から捌けようとすれば、ふと、先程の七種くんファンの子と目があった。
「ぁ、Aちゃん大好き!!!!」
「…え」
つい、その子の前で立ち止まってしまう。
顔を真っ赤にしてこちらを見るその子の手には、先程までとは違う、ピンク色のペンライトが握られていた。
……あれれ?メンカラピンクの人なんて、うちにはいないと思うんですけども…?
それからすぐに「Aちゃんお疲れ様」「ありがとう!」「泣かないで」なんて声が飛び交ってきたかと思えば、突如として「ウィンクして〜!!」なんて野太い声まで出てきて………
「私は!!アイドルじゃなくて!!プロデューサー!!!」
…そう大声で叫べば、なぜだか一層沸き上がる歓声に更に困惑する。
逃げるように舞台裏に駆け込めば、ステージからは未だ私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
ステージ上に残っていた日和くんが話し出せば、次第にその声は弱まっていくけれど、
それとは反して、私心臓は未だにバクバクと騒がしくて。
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琉星(プロフ) - ストーリーとても面白かったです!完結お疲れ様でした!Eden好きなのでめっちゃ読み進められました‼︎これからも頑張って下さい‼︎ (2022年4月7日 2時) (レス) @page50 id: 7ae148b3cd (このIDを非表示/違反報告)
結 - ありがとうございます!素敵な作品を作って下さって本当にありがたいです!これからも頑張って下さい! (2021年6月20日 13時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪さん» そう言っていただけて嬉しいです!私もEdenが一番です笑コメント有難うございます、これからも頑張ります! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪ - 私、凪砂くん推しなんですけど最高でした!Edenの皆大好きで、他のユニットも好きなんですけどEdenはズバ抜けて好きなんです!他の作品も待ってます!これからも頑張ってください! (2020年3月19日 21時) (レス) id: cca3220680 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 胡蝶蘭さん» そう言って頂けて光栄です…!コメント頂くのも二度目ですよね…?本当にここまでお付き合い下さり有難うございました!また別の作品でお会いできれば嬉しいです。コメント有難うございました。 (2020年3月16日 21時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:繕 | 作成日時:2019年8月23日 15時