34.オータムライブ ページ34
夏休み期間もとうに過ぎ去り、学業に課外実習、加えてEdenのプロデュースと、毎日忙しなくしていれば、季節が巡るのなんて早いものである。
長らく楽しみにしていたオータムライブ当日。
例の如く、イツメン(笑)とともに未だ行き慣れない秀越に向かい、関係者用入り口から会場に足を踏み入れる。
日和くんを先頭にAdamの待機室に向かえば、室内には既にユニット衣装に着替えた二人の姿があって…………ウワッ…ユニット衣装のお二人めちゃくちゃ絵になるな。もはや動く彫刻である。最高。
ライブ開始前から一人感涙している私を置いて、日和くんはズカズカと控え室に入り、最終確認中の二人の背を軽く叩いた。
「おはよー凪砂くん!!あと毒蛇!」
「いかにもオマケって感じですね〜!呼んで頂けるだけで光栄ですが!」
「おいこら、おひいさん!……茨も、もう少しで出番でしょ。こっちの事は気にせず、自分のことに集中しててくださいよぉ」
漣くんはやれやれといった顔で、日和くんを空いているソファに座らせる。それを見た七種くんは「どうも」と呟き、スンとした無表情で再度タブレットに視線を落とした。
…意外と連携取れてるんだなあ、なんてぼけっと後輩たちの姿を眺めていれば、不意に後ろから手を引かれ、トンッと背中に何かがぶつかって。
「…あの、乱さん、なぜ私は抱きしめられているんでしょうか?」
彼の吐息が耳のすぐ横で聞こえて擽ったい。
全身の熱が耳元の方に集まって、きっと今の私の顔面はまっかっかになっているんだろう。
乱さん、
そう言いかけた所で、彼の手が私の口を覆った。
「凪砂って呼んでほしいな」
…あの、そんな甘えた声、どこで覚えてきたんでしょう。
七種くん?七種くんに変なの吹き込まれた?
「な、ぎさ、さん」
徐々に小さくなっていく私の声に、彼は「聞こえない」なんて意地悪を言いだす。
待って。割とまじでそろそろ酸欠に……
「あーー!!!凪砂くんがAちゃんに抱きついてる!!だめだね!僕のAちゃんなのに………でも凪砂くんなら…んん…ん〜〜ッ」
突如大声上げた日和くんのせいで、後輩ズも此方を振り向くわけで。乱さん相手には何も言えないらしい漣くんは、眉を顰めて口を噤んでこちらを見ているだけ。対する七種くんは写真を撮り始めて……遊んでるでしょキミ??
「一人で葛藤してるとこ悪いけど、私は日和くんのものではないよ。」
「今は私のだものね」
「エッ、アノ、なんか乱さん今日キャラ違…」
「凪砂」
「エ"ッ?」
「凪砂」
「……凪砂さん」
「…ふふ、いい気分」
そう言った彼はまた腕の力を強める。
…何なんだ、本当に。
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琉星(プロフ) - ストーリーとても面白かったです!完結お疲れ様でした!Eden好きなのでめっちゃ読み進められました‼︎これからも頑張って下さい‼︎ (2022年4月7日 2時) (レス) @page50 id: 7ae148b3cd (このIDを非表示/違反報告)
結 - ありがとうございます!素敵な作品を作って下さって本当にありがたいです!これからも頑張って下さい! (2021年6月20日 13時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪さん» そう言っていただけて嬉しいです!私もEdenが一番です笑コメント有難うございます、これからも頑張ります! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪ - 私、凪砂くん推しなんですけど最高でした!Edenの皆大好きで、他のユニットも好きなんですけどEdenはズバ抜けて好きなんです!他の作品も待ってます!これからも頑張ってください! (2020年3月19日 21時) (レス) id: cca3220680 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 胡蝶蘭さん» そう言って頂けて光栄です…!コメント頂くのも二度目ですよね…?本当にここまでお付き合い下さり有難うございました!また別の作品でお会いできれば嬉しいです。コメント有難うございました。 (2020年3月16日 21時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:繕 | 作成日時:2019年8月23日 15時