目と目があえば恋に落ちる【あんスタ】

27.ドキッとなんてしてない ページ27

言わずもがな。

漣くんの金色の瞳がギラギラと輝いて、その視線は鋭く目の前の男子生徒を貫く。
…それでも身動ぎしない辺り、相手もかなり肝が座っている。

こんな目で見られたら泣いちゃうでしょ普通…
怖い…怖すぎるよキレた漣くん……想像しただけで死を覚悟するよ私………なんなら手繋いだまま日和くん固まっちゃったよ……あんた怒られ慣れてないもんね…

漣くんは私と日和くんなどには目もくれず、金髪さんだけをその目に捉える。


「アンタさっきうちの学院に来てくれ〜とかほざきましたよね？それだけでなく、幾ら出せば来てくれるのか、とか。
……残念ですけど、この人はそんな物に釣られるような人じゃないんすよねぇ。」


ちらりと金髪さんに横目で見られたから、「そうだそうだ！」と何度も首を縦に振り加勢する。
私らが下手に口開くと、せっかくの格好いい漣くんを台無しにしかねないのでお口はミッフィーちゃんだ。案の定日和くんが何か喋りたそうに口を開いたので、空いた右手で彼の口元を抑える。

うーん、凄い動くね日和くん！！でもあとちょっとだから黙っててね日和くん！！多分私らが漣くんの後ろでわちゃわちゃしているせいで締まらない感じになってるからね！！！


もっと言ってやれ！と後ろから漣くんに視線を送っていれば、彼はそれに気付いたかのように、此方を振り向いた。

不意に、日和くんの口元を覆っていた私の右手を取られたかと思えば、音もなくその甲にキスを落とされて。



…はい？


「そもそもこの人、俺らだけのプロデューサーなんで……渡す気もないんすけどね？」


それじゃあ。



彼は私の手を掴んだまま踵を返して歩き出す。

そうすると必然的に日和くんも引かれ、三人縦一列に歩くというお間抜けな状態になるのだけど、今はとにかく頭が追いついていなくて。


漣くん、


私の呼びかけを遮るかのように、彼は「先輩」と零した。


少しドキリとしつつ、平常心を保ってなにかと問えば、彼は振り向きもせずに「忘れてないですよねぇ？玲明じゃ舐められたら終わりって」なんて言い放つ。


ソウデシタネ ゴメンナサイ


若干泣き出しそうになりながら、導かれるまま夢ノ咲の廊下を歩く。
でも彼は、ふと思い立ったように立ち止まって。


「もし仮に、アンタが向こうに行くって言ったとしたら、俺はどんな手を使ってでも止めますよ。
……Eden全員で舞台に上がるまでは、嫌って言われても逃がす気ないんで。」

「え、あ…う、うん」


行くつもりはないけどね………と付け足せば、彼は満足げに口元を緩める。…その表情に若干ドキッとしたなんて、調子に乗るから絶対言ってあげない。

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