1.それは所謂一目惚れ ページ1
「アンタが好きです」
艶のある綺麗な紺色の髪と、切れ長で鋭い目。
一見細身でスラッとしているように見えるが、
意外にも筋肉質でガッチリとしている抜群のスタイル。
所謂美男子に部類に入るであろう目の前の男は、なぜだか知らんがガッチリと私の両手を握り、ただ真っ直ぐに私の目を見ていた。
それはまるで獲物をその照準に捉えた肉食獣のようで、じっとりと鋭くこちらを突き刺すその視線に、彼の視界には私以外のものは何一つとして入っていないのではないかとすら錯覚してしまう。
否、でもその前に……
「なんで私…というか誰…??」
初対面の異性に道端で突如声をかけられるなんて、生まれてこの方初めての経験なわけで、正直イケメンに告白された喜びよりも恐怖が勝っている。
もしかして私、罰ゲームか何かに巻き込まれてたりする?
そこら辺にヤンチャな見た目の男子高校生の集団が隠れていたり…なんて所まで思考を巡らせていれば、目の前の男は「一目惚れですよぉ」とサラッと言いのけた。
ああ、そうなんだ……………そっか…
「…って、はぁ!?」
思ったよりもデカイ声が出て、道行く人たちはチラチラとこちらを覗き見る。しかし、目が合っては逸らされての繰り返しである。誰でもいいから助けて欲しい。
取りあえず対話からである。
目の前の男に名前を聞いてみれば、彼はただ簡潔に"漣ジュン"という素敵な名前を教えてくれた。
「ええっと……漣くん」
「ジュン」
「…漣くん」
「ジュン」
「漣くん」
「ジュン」
「漣」
「苗字呼び唆られるんで結婚しません?」
「さてはオメェとんでも野郎だな?」
先程までの美男子の面影は何処へやら。
顔を赤らめクネクネしながらこちらに迫ってくる男に、
一歩、また一歩と後退る。
信号が青になった瞬間踵を返して走り出そう。
そして早く家に帰って、お風呂入って寝て忘れよう。
そう思っていた。…思っていたのに。
不意に物凄い勢いで腕を引かれたかと思えば、硬い壁に顔面を強打し、がっしりと腰に手を巻きつけられる。
慌てて顔を上げれば、目と鼻の先に彼の整った顔面があって、その目はなぜだか闘志を宿したように、先程よりも鋭く私を射抜いていた。
彼の吐息が耳にかかってこそばゆい。
すぐにでもこの男をぶん殴ってやりたい所だが、私の両手は彼の手によってがっしりと掴まれているわけで。
「…いいね、その顔」
最近の男子高校生、こわい。
841人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琉星(プロフ) - ストーリーとても面白かったです!完結お疲れ様でした!Eden好きなのでめっちゃ読み進められました‼︎これからも頑張って下さい‼︎ (2022年4月7日 2時) (レス) @page50 id: 7ae148b3cd (このIDを非表示/違反報告)
結 - ありがとうございます!素敵な作品を作って下さって本当にありがたいです!これからも頑張って下さい! (2021年6月20日 13時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪さん» そう言っていただけて嬉しいです!私もEdenが一番です笑コメント有難うございます、これからも頑張ります! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好き!九喇嘛朱雀♪ - 私、凪砂くん推しなんですけど最高でした!Edenの皆大好きで、他のユニットも好きなんですけどEdenはズバ抜けて好きなんです!他の作品も待ってます!これからも頑張ってください! (2020年3月19日 21時) (レス) id: cca3220680 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 胡蝶蘭さん» そう言って頂けて光栄です…!コメント頂くのも二度目ですよね…?本当にここまでお付き合い下さり有難うございました!また別の作品でお会いできれば嬉しいです。コメント有難うございました。 (2020年3月16日 21時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:繕 | 作成日時:2019年8月23日 15時