嫌いなアイツ【黄瀬涼太】 (ページ40)

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こうなってくるとどっちが勝つのかわからない。

黄瀬くんが勝つ可能性だって十分ある。

マネージャーとして、元チームメイトとして、海常のマネージャーとして、黄瀬くんを応援した。

それでも勝負は大輝の勝ちで。桐皇が勝ってしまった。

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『…足、大丈夫？』

「今はもう歩くだけなら平気っスよ、」

先に行ってろという幸男の言葉に、みんなが歩き出す。

見えないところで泣くんだろうな…、あの人なら。

そんなことを思いながら黄瀬くんの足に気を遣いながら歩いている時だった。

「……涼太、」

すごく儚く、綺麗な声で黄瀬くんの名前が呼ばれた。

呼んだのは私じゃない。

「…美咲、？」

振り向けば、とても綺麗な女の子。

黄瀬くんに美咲と呼ばれたその女の子は、笑った。

すごく可愛い顔で笑って、

「かっこよかった」

誰もが惚れてしまうような、そんな顔と声とセリフ。

「…Aっち、ちょっと抜けてもいいっスか？」

『ん、あんまり遅くならないでね』

何も言わずに頷いて、綺麗な子の元へ走った黄瀬くん。

こんなに苦しい気持ちになったのは、なんでだろう。

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