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黄瀬side
赤司っちから、洛山でマネージャーをしていると聞いてどこかで再会することになるんじゃないかって。
それを拒んでいるようで、期待もして。
「……何も言わずに別れて、そのまま転校して。本当にごめんなさい。…征十郎から聞いてる?」
「…全部聞いたっスよ、」
征十郎、と呼んだその声には、
かつて彼女が俺に涼太と呼んでくれた時の温もりが感じられて。
「…気づいてやれなくて、ごめん」
「私もごめん。涼太と離れる方を選択したの、今でもちょっと後悔してる」
なら、俺は、
「もう、美咲を傷つけたりしない。俺はまだ、美咲のことが好きだから!だから…俺と、やり直してくれないっスか、?」
さっき試合が終わって泣いたばかりなのに、また零れそうになる涙を我慢して。
美咲なら俺の事を受け入れてくれる、そう思ってた。
征十郎、と呼んだその声だって、元は俺のもんだったんだから。
「涼太は私の事を好きじゃないよ」
「っ、はぁ?」
「自分が守れなかったっていう罪悪感がまだ私を好きだって勘違いさせてるだけ。…それに、もし本当に涼太が私を好きだったとしても私はきっとその気持ちには答えてあげれなかった」
そう言って目を逸らした彼女の目線の遠い先に居たのは、赤司っちだった。
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作者名:愛璃珠 | 作成日時:2021年8月7日 20時