嫌いなアイツ【黄瀬涼太】 (ページ28)

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黄瀬 side

Aっちと打ち解けてから、俺は部活でAっちと一緒にいることが多くなっていた。

…まぁ、俺が近づいていくからなんスけど。

今日もいつも通り、一緒に帰ろうと告げれば洗濯機を回してるって言うから、終わるまで待ってると。

「笠松せーんぱーい」

誰よりも早く着替えを終わらせた俺は、タオルで汗を拭く笠松先輩の元へ来た。

Aっちには、その辺で待ってると一言告げてから。

「…なぁ、黄瀬。1つ聞いていいか？」

「どうしたんスか？」

「Aのこと、好きなのか？」

「…別に、どうも思ってないっスよ。てか、この前まで嫌いだったの知ってるっスよね！？」

確かに仲良くなってから一緒にいるようにはなったけど。

というか俺が一緒にいるようにしてるんだけど。

Aっちといたら、なんか…素でいられるっていうか。落ち着くし。

「…まぁ、いい。好きでも好きじゃなくても、あいつのこと傷つけるようだったら俺は従兄妹として黙ってねーぞ」

「…もう、絶対傷つけたりしないっスよ」

これは中学の時、監督から聞いた話。

Aっちが1度だけマネージャーを辞めたいと言ったことがあったらしい。理由は、部員と上手くいかないから。

そんなの、十中八九俺のこと。

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