第63話「満月」 ページ38
「(あぁ、そういえば)」
今日は満月か、と思い出すとタバコを足で潰して消すとサンダルを脱ぎ中に入った
「カラ松兄さんが変なの!!なんか窓見た瞬間急に包丁持ち出して…どうしよう!!」
「大丈夫落ち着いて、十四松はカラ松のために愛情たっぷりのあったかい飲み物作ってあげて。それと…私がいいって言うまで何があっても近づかないで」
「っあい!!」
泣きそうな顔でリビングのキッチンカウンターに身を潜めた十四松を見送って目の前のカラ松を見る
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い助けて助けて助けて助けて嫌だ嫌だ痛い痛い痛い痛いやめてやめて俺は必要ないいらない兄弟に必要とされてない死にたい死にたい死にたい」
「……」
満月の日、カラ松が誘拐されてトラウマになったあの日
うちに来た時からだが、満月の日になるとよくある
チラッとベランダの方を見ると、呆然としてる4人
はぁ、と溜息を吐いて頭を掻くと蹲って包丁を片手にブツブツ呟いてるカラ松の傍にいく
「カラ松」
「死にたい死にたい死にたいそうだ死ねばいいんだ俺が死ねば皆俺を見てくれるだろうか悲しんでくれるだろうか」
「カラ松、私の大事な大事なカラ松」
しゃがんで優しくゆっくりカラ松を呼んであげる
包丁を持つ震えた手の上にそっと手を乗せると、ピタッと震えが止まった
「…A」
「んー?」
包丁が私の体に当たらないように、カラ松の前に座るとぎゅっと抱きしめてやる
子供をあやすようにポンポンと頭を撫でてやると、強ばっていたカラ松の体が少しずつ解けていく
「ずっと一緒にいてくれるか?」
「うん、一緒にいるよ」
「なら、一緒に死んでくれ」
一緒に、というワードをやたら使うあたり、やはりトラウマが蘇ったかと再確認
窓を見てからおかしいということは、満月を見てしまったのだろう
うーん、満月の日はみえないように気をつけてたけど忘れてたわ
今度から気をつけよう
「うーん、それはムリかなー」
「何でだ?一緒にいてくれるんだろ?一緒に死んでくれ、独りは嫌だ、一緒にいるって言ったろ?Aも俺を独りにするのか?」
カラ松が包丁を私に振り上げる
あーあ、目が虚ろになっちゃって…
「だってさ、死んだらカラ松とお出かけもうできないよ?」
「!」
今にも私を殺しそうに振り上げてたのがピタリと止まる
「私ねー、カラ松とまた旅行もしたいしー料理とかも一緒に作りたいな」
カラン、と包丁が滑り落ちていった
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炉夜 - おそ松さん2期OPを聞きながらこの小説を読んでる私は幸せ……でありたい(2日後中間テストの人) (2017年11月20日 1時) (レス) id: 299a7e3fab (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 『花より三色団子』の舞台って、東映太奏映画村(とうえいうずまさえいがむら)ですか?漢字違ってたらごめんなさい! (2017年1月12日 0時) (レス) id: 423ee50578 (このIDを非表示/違反報告)
さいか - ウォルトなんとか人間何回も泊まったことがあります。凄くてやばかった。(・ω・)ノ (2017年1月6日 0時) (レス) id: 400d8d3ea4 (このIDを非表示/違反報告)
阿修羅丸 - とてもおもしろいです。ドハマりしました! (2016年6月24日 15時) (レス) id: 304e2b5179 (このIDを非表示/違反報告)
松野七松(プロフ) - ひょえ−、女の嫉妬って怖いねぇ。フッ、心配ないさ、なぜならカラ子一途だからね!どうせならそのままゴ−ルイ))殴and蹴すみません、もう何も言いません。 (2016年6月14日 0時) (レス) id: e4fa147493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イバラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/ecfed04be15/
作成日時:2016年4月8日 5時