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午後4時50分。
あらかじめ、中島には
ついたらインターホン押さずに
lineしてって言っておいた。
だって、親にバレたらめんどくさそうだし。
鏡の前に立ってみて、
改めて見る浴衣姿の自分。
髪は編み込みだし、
メイクもいつもより薄めだし、
なんだか自分じゃないみたい。
中島に、
え、誰!?
とか言われたらどうしよ。
いくら相手が中島とはいえ、
さすがに凹むかも。
でも、そんなことより、
問題はあいつがどう思うかだ。
(人1)からあいつを奪いたい
とは思わないけど、
(人1)ばかり見ているあいつの視線を
奪ってやりたいとは思う。
ほんの少しでいいから、
私を視界に入れてほしい。
そう思っていた時、
♪〜
-ついたよー♡
『…さてと…
…行くか』
部屋を出て玄関に向かい、
下駄を履いてカラカラと音を立てながら
外に出た。
.
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『お待たせ』
外に出ると中島は目を見開いて
足の先から頭の先までじっくりと見つめた。
『……変かな…』
健人「……可愛い…」
『…へっ!?』
可愛いだなんて耳が腐るほど
中島には言われてきた。
でも、いつもと様子が違う。
まるで、心から思ってくれてるんじゃないか
なんて、錯覚してしまいそうな言い方だ。
健人「……」
『…な、なにボケっとしてんのよ!』
急に見つめられて顔が熱くなる。
『…ちょっと、聞いてん…んぐっ!!』
「こんな可愛い格好されたら、
誰にも見せたくなくなっちゃうじゃん」
突然抱きしめてきたかと思えば
突然耳元で甘ったるい言葉を
放ってくる中島。
『わ、わかったから、ちょっと離れて』
さすがにこんなに強く抱きしめられると
嬉しいより苦しいの方が勝る。
中島は、はっとしたように私から離れ、
いじけたように唇をとがらせる。
健人「…だって、Aが
いつもより可愛いから…」
『ふはっ笑
お前、可愛すぎかよ笑笑』
健人「なっ!!//
べ、別に俺可愛くねぇし!//」
『顔真っ赤ですけどー?笑』
健人「う、うっせぇ!//」
中島といてこんなにも笑顔になれたのは、
この時が初めてだった。
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xLuvx(プロフ) - 続き待ってます!更新頑張ってください!! (2015年6月7日 11時) (レス) id: aebc61ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫月華恋 | 作成日時:2014年12月9日 16時