エピローグ 側にいる友へ ページ49
『あいつはずっと、あなた達の事を思い出そうとしてたみたいですよ』
もう一度、信二と一緒に過ごした数日間の話を包み隠さず話した。出会ったときから別れるまで。
二人は何も言わずに話を聞いた。
『そっか…‥』
ようやく落ち着いたみたいで、小さく聞こえた声は安心感が見られた。
『よし、時間とらせてごめんね、行こうか』
そう言って女性が勢いよく立ち上がった。目元に電気の光が反射してキラリと水滴が光ったのをカラ松は見逃さなかった。
墓地の少し奥へ行くと、彼の墓があった。真新しい墓石に刻まれた名は間違いなく彼が探していた名だった。
線香をあげ手を合わせる。線香の香りが鼻をぬけ、不思議な雰囲気にのまれると、後ろから多くの足音が近づいてきた。振り返るとよく知る顔が5つ。
『ブラザー?』
『よー。何で俺たちに内緒で一人で行くの?』
おそ松が眉をハの字にして笑い後ろの弟たちはうんうんと頷く。どうしてと問い出すとチョロ松が呆れたように言った。
『どうしてって、カラ松兄さんの命の恩人でしょ?お礼に行かない兄弟がどこにいるの』
『さ、ぼく達もお線香あげるから』
トド松がそう言うと5人が墓の前に一列に並ん一人一人線香をあげるとおそ松が声を上げる。
『長男、おそ松』
すると次々に弟が続いていく。
『三男、チョロ松』『四男、一松』
『五男、十四松!』『末弟、トド松』
『俺達の兄弟を助けてくださり、ありがとうございました!』
一斉に言った言葉にカラ松目には涙がこみ上げてきた。
(いい兄弟をもちましたね)
聞き覚えのある声が隣で聞こえた。声のした方向を見てみると、彼岸花が一輪咲いていた。
(もしかして、いるのかもな)
声のしたほうへ微笑み、前を向くと十四松の背中にあるものに気づいた。
『そういえば十四松、何でギターなんか持ってきているんだ?』
カラ松の問いかけに一松が答えた。
『イタい兄さんの事だからいるかなって』
『はい!これで信二さんに曲、聴かせてあげて!』
十四松にギターを渡される。いつも使っているアコースティックギターだ。
『おお!いいね、俺も聴きたい!』
二人も結構乗り気のようだ。
『ふっ……。では、奏でよう。信二のために、鎮魂歌《レクイエム》を!!』
夕焼けの空にギターの美しい音色が吸い込まれる。肌寒い風が秋の訪れを感じさせる。
もうどこにも見えない、けれど近くにあるであろう友にむかってカラ松は言った。
(ありがとう、信二。また、いつか)
- 金 運: ★☆☆☆☆
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囚人2 - くにひなさん» 別アカから返信させていただきます囚人です。感想ありがとうございました!できるだけ良いものを届けられたようなので満足です!お粗末なものでしたがここまで読んでいただきありがとうございました! (2017年3月31日 18時) (レス) id: e6ab6539df (このIDを非表示/違反報告)
くにひな(プロフ) - 囚人さん、お疲れ様でした!!最後までとても感動しながら読ませていただきました。°(´ω`)° 。ひゃー、本当に面白かった!!カラ松、無事現世へ還れて良かったです。 (2017年3月27日 14時) (レス) id: 9876eec4f2 (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - ガーナさん» ガーナさん!応援ありがとうございました!こんなもので少しでもいい方向へ向かえたならこれほど嬉しいことはないです。ガーナさんのコメントのお陰でここまで来れました。嬉しいコメント、本当にありがとうございました! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
ガーナ - 完結、おめでとうございます!。この小説が無事完結を迎えた嬉しさと寂しさで胸がいっぱいです。私はこの小説を読んで、いい方向に人生が変わった気がします。それに、囚人さんの世界観が大好きです!。本当に、おめでとうございました!。これからも頑張って下さい!。 (2017年3月12日 20時) (レス) id: cf0ca5759a (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - 朱雀悲奈さん» おそらく、私でしたら、活動する際は、挨拶は、どうも、誰々ですみたいなかんじなのでそれはももしかしたら、私かもしれません笑 いつか見つけたら是非お声をお待ちしてます! (2017年3月10日 0時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:囚人 | 作成日時:2016年4月26日 20時