41通目 そして、楽しく人生をやりきってくれ ページ41
(そうですね。赤坂信二、間違いなく俺の本名です)
そう言って無い空を見上げる。やはり白しかない。
(……ただ羨ましかった……)
郵便屋……信二がぼそりと呟いた。カラ松にはよく聞き取れていなかったようだ。
何だと聞き返すが何でもないと口を噤んでしまった。
(そういえば、手紙、書き終わったそうでしたよね。あれもう出しますよ)
(なっ……俺は信二が成仏できるようになるのが先と言っただろ! ここから出た後でも出来る! まずはここから出よう。)
カラ松の言葉を無言で返し手をさしだす。それでも渡そうとしないのに呆れたのか口を開いた。
(此処から出た所でそんな余裕ありません。恐らく出たら俺は消えます。悪霊に取り込まれたんです。長居するとあんたも危ない)
自分を悪霊と言ってしまっているのがカラ松は酷く悲しかった。
成仏してほしい 消えるなんて駄目だ
まだ……
(そうよまだ)
背後から声が聞こえた。そこには少女が不安の色を浮かばせ立っていた。顔には冷や汗が浮かんでいる。
(ああ、あなたは……)
声色が変わった。身の毛もよだつような眼光に少女は怖じ気づいてしまった。まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。
(あ……あなたに言いたい事があるんです)
(散々邪魔してきて、今更なにを言いたいんです?)
かなり怒っているようだった。ここは彼の世界だからか言葉が無くても伝わってくる。
(おい信……)
(大丈夫)
少女が止めに入るカラ松を制止する。唇を噛みしめると少女は信二の前に二三歩歩み出た。少女より背が高く緊張し、自然に少女は息を殺し静かに頭を下げた。
(ごめんなさい。あなたの邪魔をしてしまって、関係ない人に迷惑をかけて……あなたを死なせてしまって……勝手に……死んでしまって)
(……は?)
信二は口をぽかんと開けた。どうやら彼は
彼女が何なのかが分かっていないようだった。
(実は私、あなたが死んだときに助けてもらったんです。トラックに轢かれそうになって……)
それから嘘偽りなく全てを告白した。最初は半信半疑だった信二も無言で話を聞いた。
(そうでしたか、あんたあの時の……)
そして信二の手が少女の頭を向けておろされ反射的に少女は目をぎゅっと閉じた。
だが−−
ポンと少女は頭の上に少し重みを感じだ。恐る恐る目を開けると信二の無表情顔があった。
(大きくなりましたね)
優しく安心する声が寂しい世界に響いた。
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囚人2 - くにひなさん» 別アカから返信させていただきます囚人です。感想ありがとうございました!できるだけ良いものを届けられたようなので満足です!お粗末なものでしたがここまで読んでいただきありがとうございました! (2017年3月31日 18時) (レス) id: e6ab6539df (このIDを非表示/違反報告)
くにひな(プロフ) - 囚人さん、お疲れ様でした!!最後までとても感動しながら読ませていただきました。°(´ω`)° 。ひゃー、本当に面白かった!!カラ松、無事現世へ還れて良かったです。 (2017年3月27日 14時) (レス) id: 9876eec4f2 (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - ガーナさん» ガーナさん!応援ありがとうございました!こんなもので少しでもいい方向へ向かえたならこれほど嬉しいことはないです。ガーナさんのコメントのお陰でここまで来れました。嬉しいコメント、本当にありがとうございました! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
ガーナ - 完結、おめでとうございます!。この小説が無事完結を迎えた嬉しさと寂しさで胸がいっぱいです。私はこの小説を読んで、いい方向に人生が変わった気がします。それに、囚人さんの世界観が大好きです!。本当に、おめでとうございました!。これからも頑張って下さい!。 (2017年3月12日 20時) (レス) id: cf0ca5759a (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - 朱雀悲奈さん» おそらく、私でしたら、活動する際は、挨拶は、どうも、誰々ですみたいなかんじなのでそれはももしかしたら、私かもしれません笑 いつか見つけたら是非お声をお待ちしてます! (2017年3月10日 0時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:囚人 | 作成日時:2016年4月26日 20時