27通目 これからも家族に笑顔を ページ27
(すまない……。お前も本当にもう大丈夫か?)
聞くと少女は逃げたらしい。
郵便屋もずっと座り込んでいたが今は息も落ち着いている。だいぶ回復したようだった。一瞬驚いたような顔をしたように見えたがすぐに無表情に戻る。
(驚いた、こんな時に他人の心配ですか)
(普通心配するだろ?まだ駄目なようなら俺がヒーリングソングをうた……、おい)
俺は気づいてしまった。郵便屋は黒い制服、制帽を身につけていてしかも周りも薄暗いが俺達幽霊はみんな白く透けて普通に暗くても分かる。だが今の郵便屋は……
(何か体が黒っぽいが……)
日焼けとかの黒さじゃなく全体が影で覆われているような黒さだ。瞬時に彼が悪霊になる手前だということを理解する。
(……)
郵便屋は俺の言葉を聞き、ジッと手を見つめた。だがすぐに視線を俺の方へ戻す。
(何時ものことですよ)
何時も……この20年、彼はどれだけ危険な目にあったのか想像もつかない。
『一松? もう平気か?』
おそ松が背中をさすりながら隣で座り込む一松に言った。大丈夫と応えるとその場でいつものように膝を抱えて座った。おそ松はよいしょとしゃがんで一松と目線を合わせる。
『なあ、さっきカラ松に謝っていたよな? どうしてだ?』
優しい問いかけに一松は顔を伏せぼそぼそとしゃべりだした。
『さっきのやつ、あれ、クソ松がやったと思うんだ』
(違う!!)
とっさに叫んだが届くはずもなく虚しく空に消える。聞こえていない一松は話を続ける。
『考えてみなよ。俺がクソ松にやってきた事、そりゃあ恨みなんて山ほどあるよ』
目からは光が消え虚ろな目でおそ松を見る。眉尻を下げ口角を上げた自虐的な表情を浮かべる。
『もう直ぐ呪い殺されるんだよ! きっとあいつは清々したと笑っている!! 皆だってゴミが消えて…
パァンと破裂音の様な音が辺りに響いた。一松は自分の左頬を抑えている。おそ松が一松を叩いたんだと理解した。そして肩にポンと手を置いた。
『あいつがそんな事するわけ無いだろ?』
うっすらと笑顔を見せ一松のことをまっすぐに見て話し続ける。
『俺達は酷いことばかりやった。それでもあいつは兄弟が大好きなんだよ。お兄ちゃん弟どもの考えは全部お見通しなんだよね〜』
叩いてごめんなと言うとスッと立ち上がる。その時気配を感じ後ろを振り返ると見慣れた影が……
『おーい!ブラザー!!』
呼びかけるその声は聞き飽きた自分の声だった。
28通目 6つ子の歌、また一緒に歌おうな。→←26通目 一緒にいる俺も楽しかった
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
魚に愛をしたためた手紙
ラッキーカラー
あずきいろ
126人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
囚人2 - くにひなさん» 別アカから返信させていただきます囚人です。感想ありがとうございました!できるだけ良いものを届けられたようなので満足です!お粗末なものでしたがここまで読んでいただきありがとうございました! (2017年3月31日 18時) (レス) id: e6ab6539df (このIDを非表示/違反報告)
くにひな(プロフ) - 囚人さん、お疲れ様でした!!最後までとても感動しながら読ませていただきました。°(´ω`)° 。ひゃー、本当に面白かった!!カラ松、無事現世へ還れて良かったです。 (2017年3月27日 14時) (レス) id: 9876eec4f2 (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - ガーナさん» ガーナさん!応援ありがとうございました!こんなもので少しでもいい方向へ向かえたならこれほど嬉しいことはないです。ガーナさんのコメントのお陰でここまで来れました。嬉しいコメント、本当にありがとうございました! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
ガーナ - 完結、おめでとうございます!。この小説が無事完結を迎えた嬉しさと寂しさで胸がいっぱいです。私はこの小説を読んで、いい方向に人生が変わった気がします。それに、囚人さんの世界観が大好きです!。本当に、おめでとうございました!。これからも頑張って下さい!。 (2017年3月12日 20時) (レス) id: cf0ca5759a (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - 朱雀悲奈さん» おそらく、私でしたら、活動する際は、挨拶は、どうも、誰々ですみたいなかんじなのでそれはももしかしたら、私かもしれません笑 いつか見つけたら是非お声をお待ちしてます! (2017年3月10日 0時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:囚人 | 作成日時:2016年4月26日 20時