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25通目 お前はいつも元気いっぱいで ページ25

怒りにも嘆きにも聞こえるそれは耳を裂くようにあたりに響いた。狭い路地裏に残響が残る。少女は気味の悪い笑みを止め、自分の首に掛けられた縄を愛おしそうにゆっくりと撫でた。

(……そうやって真実から目を背けるのね。自覚したらあなたは耐えられないもの。ずっと成仏なんてできないんじゃないかしら)

 郵便屋はじっと少女を見据える。まだ動くことは難しいのか全く動かない。

(な……なあ、お前が生前何があったのかは分からないI don't know. だが俺はお前の力になり……)

(味方ぶらないで!)

 少女は自虐的な笑みを浮かべる。そのときカラスがバサバサと音を立てて一斉に飛び立った。周りにいた猫が四方八方に逃げ出す。

(時間が……)

 戻ったのを理解するのにそう時間はかからなかった。黒い影がわらわらと彼女の周りにあつまってくる。

 そして_

『ぐっ……かはっ』

 少女は一松の首を締めた。その細い体の何処にそんな力があるのかなんて思考を消しブラザーの危機に頭に頭が真っ白になる。

『おい!? 一松!』

 おそ松が必死に呼吸を落ち着かせようと背中をさするが現状は悪化するばかりだ。

『カ……ラ松兄さ……ごめ……なさ……』

ひゅーひゅーと空気が微かに漏れるような声で呟いたのを確かに聞いた。

 なんで今謝っている?

(やっと、辛い現実からさよなら。 首が持ち上がってとっても安らかでしょ?あははははははは)


 ケタケタと壊れた玩具のように笑いだし、子供のように手を叩いた。一松の腕がだらんと力無く垂れ下がった。それを見て俺の頭は思考停止し

(きゃあ!!)

少女に思い切りタックルし、一松から離れさせる。やっぱり女性で細い体は簡単に吹っ飛んだ。普段女性に手をあげるなんてcoolな俺は絶対にしないがブラザーを傷つけるなんて許すわけにはいかない。
 一松は首を抑え大きく咳をしながらうずくまった。おそ松が何度も大丈夫かと聞き、一松はそれに小さく頷いた。それに安心し胸をなで下ろし、キッと少女を睨みつけた。

 空は更に黒さを増し、人の声はいつの間にか消えていた。
 

26通目 一緒にいる俺も楽しかった→←24通目 十四松


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設定タグ:おそ松さん , カラ松 , アニメ   
作品ジャンル:アニメ
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囚人2 - くにひなさん» 別アカから返信させていただきます囚人です。感想ありがとうございました!できるだけ良いものを届けられたようなので満足です!お粗末なものでしたがここまで読んでいただきありがとうございました! (2017年3月31日 18時) (レス) id: e6ab6539df (このIDを非表示/違反報告)
くにひな(プロフ) - 囚人さん、お疲れ様でした!!最後までとても感動しながら読ませていただきました。°(´ω`)° 。ひゃー、本当に面白かった!!カラ松、無事現世へ還れて良かったです。 (2017年3月27日 14時) (レス) id: 9876eec4f2 (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - ガーナさん» ガーナさん!応援ありがとうございました!こんなもので少しでもいい方向へ向かえたならこれほど嬉しいことはないです。ガーナさんのコメントのお陰でここまで来れました。嬉しいコメント、本当にありがとうございました! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)
ガーナ - 完結、おめでとうございます!。この小説が無事完結を迎えた嬉しさと寂しさで胸がいっぱいです。私はこの小説を読んで、いい方向に人生が変わった気がします。それに、囚人さんの世界観が大好きです!。本当に、おめでとうございました!。これからも頑張って下さい!。 (2017年3月12日 20時) (レス) id: cf0ca5759a (このIDを非表示/違反報告)
囚人(プロフ) - 朱雀悲奈さん» おそらく、私でしたら、活動する際は、挨拶は、どうも、誰々ですみたいなかんじなのでそれはももしかしたら、私かもしれません笑 いつか見つけたら是非お声をお待ちしてます! (2017年3月10日 0時) (レス) id: 1320336adf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:囚人 | 作成日時:2016年4月26日 20時

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