フェイクラバーズ②…Yuri.C (ページ20)

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私がこれまで、取り立ててバイトでのことを話さなかったのは、

侑李の話を聞きながら大貴のことを想像してしまうに違いなかったからで。

侑李がその話をする時には、店長のことを考えてしまうに違いなかったからだった。

話していたのは侑李が迎えに来る時に必要な、最低限の情報だけ。

シフトに入っている日と、上がり時間。

私に関しては、侑李の好きなゲームだのフットサルだのの話題にしても言えたことで、

お互いにそのことを分かっていたから、敢えて口にすることはなかった。

ただ、この頃は私が自然にそれらの話題を持ち出すことが出来ていて、

それを察したのか、侑李もまた、自然に会話を返してくれていた。

侑李の趣味の話になると、彼はいつもより饒舌になる。

凄く楽しそうに話してくれる。

私にはそれが嬉しかった。

大貴「ま、上手くいってるようで何よりだわ。」

A「何それ、大貴の台詞？」

大貴「……はは！俺に言われたくねーって？」

そうして二人でまた笑った。

大貴はあれから彼女と仲直りをしたらしい。

二日後には彼女とバイト先で仲良く話している姿を目撃したし、
そんな私に気付いた大貴は此方に向けて肩を竦めて見せた。

ありがとう、という意味だったのかもしれない。

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