・ ページ5
「…はい。仰る通りです」
なんて情けない。
自分が思い描いていた警察官の姿とは程遠い。
そう思っているであろう部下に、俺は昔の自分を見ているようだった。
「玉森。お前には、お前にしか出来ないことがある。北山には出来ないけれど、お前には出来ることが。それがどんな手段であっても、お前にしか守れないものがあるだろ。」
「…っ、はい」
「間違うな。お前が守らなきゃいけないものは、1つしかない。くだらないプライドなんて捨てろ」
俺のこんな話で、何かが変わるのならそれで良い。
失礼します、と丁寧に挨拶をして去っていく部下の後ろ姿を見送った。
こんな立派なことを言ったものの、俺は薄暗い気持ちで空を見上げた。
俺が守らなきゃいけないもの。
それは、一体。
_____
ガチャ
「あ、すみませーん、今日はもう終わっちゃって…って、ガヤさんじゃん!久しぶり!」
久し振りに訪れた探偵事務所の扉を開けると、助手である二階堂が笑顔で俺を迎えてくれた。
「会う約束してたの?俺、聞いてなかった」
「いや…偶然時間が空いたから、顔見たくなって
さ」
「そっか!今、先生ちょうどコンビニ行っちゃったんだよね。コーヒー出すから座っててよ」
「ああ、ありがとう」
そう言って二階堂の姿が奥に消えるのを確認して、俺は北山のデスクに近付いた。
なるべく音を立てないように、慎重に物を捜していく。
俺を含めた上層部しか知らないはずのとある政治家に関った殺人事件のデータが、どこから流出しているらしい。
裏の世界の情報屋からリークされたそれは、確実に内部から漏れているもので、俺は思い当たる節があった。
…カチャリ
「なーにしてんの」
ひんやりと俺のうなじの辺りに突き付けられた銃口に、俺は大人しく両手をあげる。
「…上層部しか知らないはずの政治家の殺人事件の情報が、どこからか漏洩したらしい」
「へえ。それで?」
カチャ、と無機質な音がする。まるで北山の人差し指が、引き金に乗ったような音が。
「……俺は、北山がデータを盗んだと思っている」
「そうだ、って言ったら?」
「今すぐに、データを取り戻さなければいけない」
ふっ、と北山の吐息だけの笑い声と、バンッ!という銃声と。そして、粉々になったパソコンと。
「…っ」
「藤ヶ谷、何隠してんの?」
ああ。やっぱり。
この目には敵わない。
綺麗な二重が、俺を射抜いた。
581人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時