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パチリ


「わっ・・・」



眼鏡をかけていないのに、自分の目に鮮明に見えるのは、あまりにもすぐ近くに、相手の顔があったからだった。


すーっ、すーっ、と規則正しい寝息も聞こえてくる。

玉森を起こさないように、静かにベットから抜け出すと、思ったよりも気だるさは残っていなかった。

シャワーで体を流しながら、鏡に写った自分の全身に散らばる跡を見て、昨夜のことを思い出した。


____


玉森は、言葉の通り、優しくなかった。



「ひゃ・・・っ!!ま、待って!激し・・・っ」

「ごめん・・・我慢して・・・」


ぎゅ、と俺の手を力強く拘束しながら、玉森は本当に余裕が無さそうだった。

余裕無く打ち付けてくる玉森に、朦朧とする意識のなかで、自分も少なからずいつもより激しいことに喜びを感じていた。


____


「おはよう、玉森」

「あ、おはよ・・・」


シャワーから出ると、スウェットだけ履いた、上裸の玉森が寝ぼけ眼で挨拶してきた。



「何か飲む?」

「うん・・・お水ちょーだい」

「分かった」


ぎゅっ


「わ、びっくりした・・・」


キッチンに立つ俺に近付いてきて、玉森が後ろから抱き付いてきたから、びっくりしてコップを落としそうになった。



「髪、乾かしてないから、濡れちゃうよ?」

「冷た・・・」



そう言いながらも、すりすり、と俺の腰の辺りをさすってくる玉森に、頭のなかで警報が鳴る。



「水、はい」

「んー・・・」


渋々といった様子で大人しく俺からコップを受け取りと、そのままリビングのソファへゆっくりと向かった。


引き締まった綺麗なその背中には、引っ掻き傷が何本か残っていた。

爪、いつの間にか伸びてたのかな。


「ねえー」

「何?」

「髪、乾かしてあげるから、こっち来て」

「うん」



大人しく玉森の膝の間に納まると、長い指が俺のくせっ毛を鋤いていく。

首筋の辺りにある紅い印をぽんぽん、と指で叩いてきたので玉森を見上げると、満足そうに笑っていた。



「ガヤさん、ほんっと可愛いよね」

「何が・・・?」



いつだか俺もキスマークをねだられて、見よう見まねで吸い付いたのだけれど、そりゃあ下手くそな紅い跡だけが玉森の白い肌に残った。

下手くそで良かった、とか言って、何故か満足そうな玉森とは反対に、俺から付けることはもう絶対にしなかった。


だから、いつも盛大にキスマークを散らしてくる恋人に対して、俺なりのお返しは、背中の紅い引っ掻き傷だった。

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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年4月16日 21時

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