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それ、彼女さんと飲むんですか?
違うよ、そんなんじゃないって
・・・そうですか
じゃあ、もしかして、玉森さんですか?
____
「ふーっ・・・」
吐き出した煙が空に吸い込まれていく。
外回りを終え、会社に戻る前に一服を、とコンビニの前で煙草に火を灯した。
先週、藤ヶ谷さんに偶然出会った時。
俺は最後に玉森さんの名前を口にしなかった。
自信が無かったからではなく、きっと名前を出したら、藤ヶ谷さんは俺を警戒するだろうと踏んだからだった。
二人が知り合いで、普通以上に仲が良いのだと勘づいてからは、色々見えてきたものがあった。
休憩時間に実は二人が会っていることも、廊下ですれ違う時に、酷く優しい笑顔を向けていることも。
きっと、あの二人は特別な関係なんだろうな。
そう簡単に予想が付いた。
携帯灰皿に煙草を潰して、出ようとすると、後ろから聞き覚えのある声が降ってきた。
「あれ、北山くんだっけ?」
「・・・玉森さん?」
「お疲れ様。・・・ってタバコ吸うんだ?」
そこにいたのはまさかの玉森さんで、先程まであなたのことを考えていました、と思わず口走ってしまいそうになる。
店からちょうど出てきたタイミングだったようで、玉森さんは缶コーヒーを手にしていた。
「はい。割りと、吸います」
「そっか、何か意外だね」
「玉森さんも吸います?」
と、煙草を差し出そうとすると、玉森さんは大丈夫、と断った。
「前まで吸ってたけど、止めた。匂いが嫌いだって言われて」
誰に言われたんですか?
だなんて聞けるわけもなかったから、俺は煙草を胸ポケットに大人しくしまった。
「どう?仕事は。慣れた?」
「はい・・・藤ヶ谷さんが、良い人ですごい助かってます」
「そっか。」
ふわり、と柔らかくなるその雰囲気。
「俺のとこの宮田と、北山くんって同期なんだよね、たまに話聞くよ。フットサルやるんだって?」
「はい」
「今度、一緒にやろうよ。結構やってる人いるからさ、後で声掛けるから」
「・・・・何で、お二人は、仲が良いんですか?」
質問をしてから、しまった、と思った。
玉森さんは、その綺麗な顔から何の感情も読み取れないような、無機質な表情に変わっていた。
「二人って、俺と誰のこと?」
「・・・すみません、何でもないです」
「良いよ。別に悪いことじゃないし。
誰のこと?」
「・・・藤ヶ谷さんと、玉森さんって、どういう関係なんですか?」
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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年4月16日 21時