前世なんて知ったこっちゃない【山崎退】

天上天下 ページ17

あのサイトに書かれてあった会場に着いたのだが、ヤから始まってザで終わるような人達や、身体中ツギハギだらけの人が千人は居るのだろうか。



そんな人達の中、スーツでビシッと決めているのは私だけ
...おかしいな。就活サイトに載ってたんだけどな




「なんでこんなとこに居やがるんでィ」


聞き覚えのある江戸っ子口調にすぐさま振り向くと、制服を着た沖田さんが。腰には刀のようなものを帯刀している


「就活サイト見てここに来たんですけど、何なんですかこの会場は」

苦笑いしながらそう聞くと、沖田さんは目を瞑ってしばらく考えた後に、あの裏就活サイトですかィ、と答えた。

裏就活サイト？なんだそれ、と意味がわからなさすぎて暫くフリーズするが、すぐさま脳内を再起動し、沖田さんにもう一度同じ質問を問う



「つまりここは真選組の採用会場でさァ、腕っ節に自信のある荒くれ者の奴らが競い合って、勝ち残ったら筆記試験免除でィ」

ヤーさんとかでも就活するんだな、何だか意外だ。
説明会かと思っていたが、いやはや思い込みって怖いなぁ

「ちなみに今から辞退することって出来ます？」
「出来るわけねェだろ」


もう試験は始まらァと悪魔のような笑みを浮かべる沖田さんを前に珍しく私は冷や汗をかいていた。
なんだよそのめちゃくちゃな試験。何としてでも受けたくない。せめて正統法で受けたい


「いやほら、今日スーツにパンプスで動きにくいっていうか」

「ジャージと運動靴は貸し出し無料でさァ」

そう言い私に服装を一式渡したかと思うと、沖田さんは人混みの中に消えていった。





着替えを終わらせ、会場に戻ると試験は始まっているらしく、色々な場所から阿鼻叫喚が聞こえる地獄へと化していた。


誰か軽く殴ってくんないかな。そしたら気絶したフリして...

と試験に落ちる方法を考えていると、後ろから大男に頭を思い切り殴られ、視界が霞む



「なんでこんなとこに女がいるんだ、早く帰って男に股でも開いてな」





そう言い笑う男達の声を聞いて思い出した。私は女という性別で卑下されるのが1番嫌いなのだと

私はまだ後ろにいる大男に仕返しのつもりで1発パンチをお見舞いしてやると、図体の割に呆気なく気絶した


「女を馬鹿にする輩は家に帰ってかーちゃんの乳でもしゃぶってろ」


そう言い放つと、私は無心で地獄の中に飛び入った

呼び起こされる記憶の断片→←大学の一大イベントと言えばこれしか無いだろう

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