綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ3)

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『…先輩って、実際中身も王子様なんですか？』

「直接聞くんだ。それ。」

『いや、だってあるあるじゃないですか。外面がいい男ほど、中身は真っ黒だったみたいな。』

「喧嘩売る暇あるなら手動かしなよ。」

『…そんな可哀想な目で見ないでくださいよ。』

「残業四日目にならないといいね。」

『先輩、それフラグです。』

他の女性社員に比べたら、私は茅ヶ崎さんとよく話す間柄かもしれない。まぁ、それもこれも先輩が私の元教育係っていうのもあるんだけど。

私もこの会社に勤めて2年目。2年も彼の後輩として働いているけど、未だに先輩の素性は謎のまま。踏み込もうとしても厚い壁があるからか、遠回しに拒否されているような気がするしな。

『おかしい！終わらない！』

「仕事できるのに容量悪いんだよな。」

『…うっ…それは否めない。』

「仕方ない。元教育係である俺が手伝ってあげよう。」

『先輩！！！！』

「あー、うるさいうるさい。さっさと終わらすよ。」

先輩が残業に付き合ってくれるのは初めてではない。定時で上がっていく何人かの女性社員に、羨ましがられるのも初めてではないのだ。

羨ましがるなら残業変わってほしいんだけどなぁ。先輩の言う通り残業四日目になっちゃったじゃん！！！！

「つーか、お前、誤字多すぎるんだよ。確認しろっていつも言ってるよね？」

『先輩、口悪いですよー。』

「誰のせいだと…」

先輩の口が悪いのはきっとみんな知らないんだろうな。別に先輩に対してトクベツな感情があるわけではないけど、キラキラなみんなの王子様・茅ヶ崎至じゃなくて、私に対して厳しく指導してくれる先輩の茅ヶ崎さんを見れるのがちょっとだけ嬉しい。というか、優越感というか。

『終わったら飲みにいきましょー！私奢りますよ。』

「当たり前。付き合ってやってんだから。」

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