【d!】君の事が本当に嫌いでした。

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…




そろそろ私の一方的な気まずさが頂点に達しそうな頃なのだが、そんな私の気なんて知るはずもなく、この男は堂々と私の目の前で勉学に励んでいる。いや知られても困るのだけれど。


「あつ…、」


「暑いなんて感情あったんだ」


「馬鹿にしとるんか」


今日は10月にしては暑い日だった。それはもうペンを動かすのもページをめくるのも億劫になるくらいには。勿論夏じゃあるまいし、図書室に冷房は入っていない。窓から入る光が図書室を蒸しているのだ。

そんな中、衣替えを終えた長袖の人間が暑さを感じない訳もなく。少しばかりだが汗をかきながら私たちは図書室に居るのだった。


…てかお前長袖のシャツ来てる癖に半袖レベルまで捲ってるじゃないか。一昔前の不良みたいになっている。それで暑いとかどういう身体しているんだ。


「…半袖で暑いの？」


「日が当たる面積広いやろ、そういう事や。」


「暑さで頭やられた？」


「そうかもしれん」


否定してこないあたり本当に暑さにやられていそうだ。ここまでくると溜め息が出てくる。いや溜め息しか出てこない。

始まってからそんなに経っていないけど、飲み物でもないと苦しいなあ、とぼんやり思う。すると捏島がガタリと音をたてて椅子から立ち上がった。片手には財布。


「…自販機行かんか。」


「あぁ、うん…いいよ。」


偶然にも同じことを考えていたらしい。私も一緒に席をたち、図書室から出た。





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