【d!】君の事が本当に嫌いでした。

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「なあなあ、Aちゃん」


「なに？」


資料室から戻った私に話しかけてきたのは、鬱くんだった。いつの間にか苗字呼びから名前呼びに変わっている。許可を取られた記憶も、許可した記憶もないんだけどなあ。


「あんな、聞きたいことがあんねんけど。」


「？」

妙に改まったような雰囲気で言われる。つられて私も少しだけ緊張してしまう。



「Aちゃん、どこの大学行くん。」


「え〜…K大…かなあ」


「…へえ。やっぱAちゃん頭ええねんなあ。」


K大はここら辺ではまあまあ高いところで、学年トップの人たちが目指すようなところだ。鬱くんは "僕そんなとこ目指すのもだるいわ" なんて言っている。

…まあ、何となくで選んだからなあ。


「…どうして？」


「んー…なんとなく。」


あの雰囲気はなんだったんだ。


「そ、鬱くんは？」


「ええ…まだ決めてへんのよな。」


たしかに、進路とか迷いそうな顔してる。


「…友達と同じとこ行きそう。」


「まあ多分そうなるやろなあ。
行きたいとこもないし…うん。

もうそろそろ決めなあかんなあ〜…」



そう言っていつものようにへらりと笑った。






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